『アンデスの考古学 改訂版』 関 雄二 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『アンデスの考古学 改訂版』 関 雄二


アンデス考古学の通史、入門書として1997年に出版された初版の大幅な改訂版。初版の構成を堅持した上で、データを示しつつ著者が専門とする日本の調査団が10年余にわたって系統的な研究を続けている北部の高地と海岸を結ぶクントゥールワシ等の形成期、多くの発見とそれによる再解釈を生んだペルー北海岸のモチェや、再び多くの欧米研究者が入るようになったティティカカ湖近くのティワナクなどでの最近の研究成果を取り込んでいる。

この13年間にアンデス文明研究は、ペルーのテロの鎮静化と経済・社会の安定化により欧米日の考古学者が次々に大型発掘調査を行い、その成果が格段に増大するとともに、その解釈や仮説なども多様化してきている。ペルーにおいてもナショナリズム的な動きが活発になってきた一方で、米国の考古学自体の研究テーマやアプローチの多様化により、研究姿勢が多方向に分散してきたことから、近年のアンデス考古学を概論として、従来の通史の延長として一般の読者が把握、理解することは容易で無くなってきているが、こういった最新の動向を視野に入れ、それらも考慮しつつ、全般的な現代アンデス考古学の概論としてまとめ上げた著者の力量はさすがである。

(同成社 2010年9月 323頁 2900円+税)

『ラテンアメリカ時報』2010/11年冬号(No.1393)より