『ブラジルの流儀−なぜ「21世紀の主役」なのか』 和田 昌親編著 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ブラジルの流儀−なぜ「21世紀の主役」なのか』 和田 昌親編著


ブラジルがハイパーインフレ、対外債務問題などを抱える“ 経済破綻の国” であったのは、つい10余年前までであった。それが今や21世紀の勝ち組といわれるまでに成長し、風格ある大国に生まれ変わろうとしている。では「ブラジルはどういう国なのか?」人によって様々な「なぜ?」が知りたいが、本書は国民性を知るうえでの社会・生活から始まり、日本とは異なるビジネス常識を知るための経済・産業、ブラジル流とは?を知るための文化・歴史的背景、ブラジルといえばサッカー、その強さの秘密、そして途上国と先進国の両方の顔をもつ独特の政治・外交に至るまで、67の「なぜ〜なのか?」という設問に対して筆者(元日本経済新聞サンパウロ特派員、国際担当常務等歴任)なりの答えを挙げている。

ブラジルにある程度通じた者でも専門家でもすぐには答えられないテーマ −それには堅いものだけではなく、ブラジルへ行き、生活すれば身近に転がっているような疑問も多く含まれているが、それらを解いていくことによって「ブラジルの流儀」をあぶり出すことを意図している。それぞれのQ&Aと4つのコラムを面白がって読んでいくうちに、知らず知らずにブラジルの実態への理解が進む好読本である。

(中央公論新社(中公新書) 2011年2月 252頁 820円+税)

『ラテンアメリカ時報』2011年春号(No.1394)より