『メキシコの美の巨星たち −その多彩でユニークな世界』 野谷 文昭編著 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『メキシコの美の巨星たち −その多彩でユニークな世界』 野谷 文昭編著


メキシコはアステカ等の先住民文化の上にスペイン征服者が持ち込んだ旧世界文明、そして混血の増加と後のメキシコ革命の影響、移住者や亡命者がもたらした文明が混然と混じり合い、様々な分野で美の文化が華開いている。本書は建築、写真、美術、映画などの専門家が、魅力あるメキシコ・アートの世界を紹介したものである。

編者による「メキシコ文化という謎」という歴史的背景の解説から始まり、20世紀のメキシコを代表する世界的な現代建築家ルイス・バラガンと写真家アルバレス・ブラーボの作品紹介、思春期の交通事故で生涯30数回の手術と夫の壁画画家ディエゴ・リベラの不倫に苦しんだ心情を描き出した絵画で知られるフリーダ・カーロ、メキシコ映画を彩った男優と女優たち、世界の前衛映画あるいはシュルレアリスム映画の傑作といわれる『アンダルシアの犬』を初めとする数々の名画の監督ブニュエル、メキシコ壁画運動を興したディエゴ・リベラ、それぞれ英国、スペイン生まれであるが、メキシコで想像力と感性を飛躍させた画家レオノーラ・キャリントンとレメディオス・バロを取り上げている。

それらの一部は美術展、写真展、建築展などで紹介されているが、単発の展覧会では見えてこない共通性、時代性、土着文化だけでないユーロアメリカの性格や普遍性を明らかにしたいという意図から編まれた本書は、メキシコの多彩な現代文化を知る上でのよい手がかりになる。

(東京堂出版2011年4月239頁1900円+税)