『ブラジル人生徒と日本人教員の異文化コミュニケーション』  西田 ひろ子編著 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ブラジル人生徒と日本人教員の異文化コミュニケーション』  西田 ひろ子編著


日本有数のブラジル人集住地域の一つである静岡県西部で暮らし、日本の公立学校やブラジル政府認可・非認可のブラジル人学校に通っている児童生徒を対象に調査データを収集し、児童や教員、保護者や、周囲の養護教諭、日本人ボランティア、日系ブラジル人通訳たちがどのような問題を抱えているかを整理し、異文化間コミュニケーション問題解消のためのトレーニング・プログラムを提示している。

児童たちの日本語習得の難しさ、学科や生活面での悩み、教える教員の児童や保護者と接する中での問題、ブラジル人保護者の学校への要望など、様々な面からの調査を整理した結果を示しており、問題の所在を詳細に明らかにしている。最後にそれら質問票・インタビュー調査結果を踏まえて、ブラジル人と日本人が互いに理解を深めるためのトレーニング・プログラムの具体例を示して提案している。

まだまだ身近にある異文化への想像力と包容力が乏しい日本社会と、そこで生活し教育を受けるブラジル人たちが日本のルールを知らないことで起きている、教育現場での行き違いの実情を理解する上でも有用な調査報告である。

(風間書房2011年2月245頁2800円+税)