ブラジル日本移民百周年記念協会・ブラジル日本移民百年史編纂委員会編
2008年の日本人ブラジル移住100 周年を記念して、1 世紀にわたる日本移民の体験・経験を後世に残す全5巻と別巻1の『ブラジル日本移民百年史』が編まれている。本書は、その第3冊目として、これまでの移民史では周辺的な位置づけであった生活の営みと文化を取り上げている。
日系ブラジル文学史(細川周平)、日系メディア史(深沢正雪)、ブラジルにおける子弟教育(日本語教育)の歴史(森脇礼之・古杉征己・森幸一)、ブラジル日本移民の女性史(中田みちよ・高山儀子)、ブラジル日本移民・日系人の食生活と日系食文化の歴史(森幸一)の5章と地図・年表、索引、写真・図表一覧から構成されている。記述はサンパウロ州・市が中心になっているが、可能な限り各地の事情も言及しており、それぞれの章の内容、質、量とも極めて充実した労作揃いであり、画期的な歴史文献と評価されるべき移民史料である。
(風響社 2010年12月 638頁 8000円+税)
『ラテンアメリカ時報』2011年夏号(No.1395)より