講演会報告:前川製作所 前川正雄名誉顧問 兼 和敬塾長「前川製作所の海外展開、特にラテンアメリカでの事業への取組みと今後」:2023年6月2日(金) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告:前川製作所 前川正雄名誉顧問 兼 和敬塾長「前川製作所の海外展開、特にラテンアメリカでの事業への取組みと今後」:2023年6月2日(金)


【演題】前川製作所の海外展開、特にラテンアメリカでの事業への取組みと今後
【講師】前川 正雄氏 前川製作所名誉顧問兼和敬塾長
【日時】2023年6月2日 10:00~11:30a.m.(日本時間)
【場所】オンライン
【参加者】61名

 前川氏の講演は、日本はものづくりは得意だが、売るのは不得手である、という話に始まった。日本でのものづくりの歴史は縄文時代の昔から、伝えることの1/10や1/5程度しか伝えられない言葉だけによるのではなく、伝えることの「奥の世界」とも言える、「思い」「心」を理解することにあり、市場の求めを徹底的に「聞く」ことを重視してきた、と言える。

前川製作所(以下「前川」)での市場へのアプローチの仕方は欧米企業と異なる方法を採ってきた。欧米のやり方では顧客の声よりも自らの管理に徹底し、マニュアルに従い不特定多数の大量消費への大量生産を続けてきた。前川は最初から客の言う事に耳を傾け、「客」を分析する努力をしてきた。又、他社との競合を避け、固定客マーケットと言える市場を形成し、ビジネスを継続して来た。メキシコに始まる海外進出では、必ず、現地の人と一緒に営業に出向き、現在そこにある問題の「根」をつかむ努力をしてきた。日本のパン屋やそば屋等は固定客を相手にするという伝統があるが、前川は固定客のマーケットをつかむ中で、次のマーケットを捉える、というやり方をしてきた。

講演の途中30分程度から質疑応答に入ったが、答えていただいた内容は講演の続きと言えるものになった。すなわち、前川の地球温暖化対策(冷媒は自然冷媒のみなど)、人事政策(海外人材育成としては入社3年目から海外に出し、一旦帰国後は「海外で働きたい」「海外で働き続けたい」などの個人の意向を100%尊重し、希望するまで海外勤務する等、又、何に取り組むかも本人の希望を優先する。現地社員も同じ扱い)、ODAおよび国際援助での実績と可能性、和敬塾との関連で教育について、ラテンアメリカにおけるコールドチェーンの可能性、現地で優秀な人材を雇うには、食品工業団地建設の可能性等について示唆に富むお話をいただいた。


<会員限定「録画」>前川製作所 前川正雄名誉顧問 兼 和敬塾長「前川製作所の海外展開、特にラテンアメリカでの事業への取組みと今後」