『空とぶ絵師 −アンデスから雲にのって』 竹久 野生 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『空とぶ絵師 −アンデスから雲にのって』 竹久 野生


1968年コロンビアに造園家の夫とともに移住し、以後ボゴタ市に在住している画家の旅日記。かなりの部分は、個展等のため帰国した際に訪れた北海道や東北などへの旅が占めているが、コロンビア北部カリブ海岸のリゾート都市サンタ・マルタからボゴタへの太陽急行列車の旅、ボゴタ北東約130kmにある高度2400mのラキラ村の、素朴な土器に惚れ込んで住み着いた英国人写真家の山小屋を訪れる旅など、コロンビアに住んでいなければ行かない地方の様子が語られている。

チリの詩人パブロ・ネルーダの詩集『マチュピチュの高み』(みすず書房 1986年)、『二〇〇〇年』(未知谷 2010年)の訳詩集の画を著者が描いた縁での「パブロ・ネルーダと私」という章もあり、チリのバルパライソ港にあるネルーダの家の訪問記もあって、挿絵やカラー写真も挟んだアンデス発の楽しいエッセィ。

(オフィスK2011年4月215頁1800円+税)