長く「中南米の優等生」と言われてきたチリですが、2019年10月に発生した社会騒乱はAPEC首脳会議を中止に追い込み、世界中を驚かせました。昨年3月には36歳と若い左派のボリッチ大統領が就任、中南米の「左派傾向」がチリにも及んだと見られていました。
チリは、1970年代に、議会制のもとで社会主義社会を実現することを目指した世界で初めての政権(アジェンデ政権)が誕生、3年後には軍事クーデターで倒され、軍政のもと、世界初の本格的な新自由主義経済政策を導入、いずれも「チリの実験」として国際的な注目を浴びました。本年9月にはそのクーデターから50周年を迎えます。
「新自由主義経済からの決別」を訴えて当選したボリッチ大統領ですが、急進的な新憲法草案は国民投票で否決され、現在は中道寄りで現実的な政策を指向しています。外交的にも、左派でありながら中国とは一線を画し、チリ国内で大議論があったCPTPP(TPP11)も、正式に締約国となりました。
チリは世界最大の銅生産国であり、重要資源であるリチウムも世界最大の埋蔵量を誇ります。リチウムはこれまで環境への悪影響を懸念して開発をほとんど認めてきませんでしたが、ボリッチ大統領は、環境と共生する技術を用いた新規開発を容認する新戦略を発表しました。チリは気候変動に関する「グローバルサウス」の議論を先導する国で、グリーン水素の世界最大の生産国を目指しています。若い左派の大統領のもとで、開発と環境の共生を目指す「新たな実験」が始まります。
さまざまな意味でチリからは目が離せません。チリの政治経済情勢の最新動向について、グローバルな視点で解説します。
日 時 | 2023年7月26日(水)10:00~11:30(日本時間) |
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形式 | ZOOMによるウエビナー |
講演題 | 「目が離せない最先端『実験国家』チリの動向」 |
講師 | 渋谷和久 駐チリ共和国特命全権大使 |
主催 | 一般社団法人ラテンアメリカ協会 |
後援 | 日本チリ協会、在チリ日本商工会議所 |
参加費 | 会員無料、非会員1,000円、大学院・大学生は無料 |
申込期限 | 2023年7月21日(金) |
下記Webサイトより、2023年7月21日(金)までに、お一人ずつご登録ください。お早めにお申込み頂ければ幸いです。
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