『ハイチ震災日記 — 私のまわりのすべてが揺れる』 ダニー・ラフェリエール 立花英裕訳 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ハイチ震災日記 — 私のまわりのすべてが揺れる』 ダニー・ラフェリエール 立花英裕訳


著者は1953年ハイチに生まれ、76年にデュヴァリエ独裁政権の圧力で政治亡命し、以後カナダのフランス語圏モントリオールに在住する作家。たまたま故国を訪れた直後、2010年1月12日にハイチの首都ポルトープランスを襲った大地震を経験したが、常に旅券とともに身につけている黒い手帳に何でも見たもの、頭の中によぎるものすべてを書き付けていたことから、大地震の瞬間の様子や人々の悲劇、自身の体験が詳細に語られている。

激震の直後から翌日まで、目にした人々の言動とパニック、コンクリートの瓦礫の中からの救出劇、周囲の知人の生と死、それらの人々の追憶などが、それぞれほんの2,3 ページの短文の中に綴られている、優れた作家ならではのルポルタージュ。

(藤原書店 2011年9月 229頁 2200円+税)

『ラテンアメリカ時報』2011/12年冬号(No.1397)より