『ブラジルに流れる「日本人の心の大河」』 丸山 康則 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ブラジルに流れる「日本人の心の大河」』 丸山 康則


前著『ジャポネーズ・ガランチード −希望のブラジル、日本の未来』(2010年同所発行)http://www.latin-america.jp/modules/bluesbb/thread.php?thr=223&sty=1&num=l50#p239

等に続く、ブラジル日系人、日本のブラジルとつなぐ施設・組織の訪問記。

著者は国鉄勤務を経て横浜国立大学、麗澤大学で交通心理学などを講じた後、2005年以来ブラジルを訪れて、各地で日系人を訪ねてその感銘を著している。今回は、パラ州のベレン、トメアスなどのアマゾンに入植した移民の奮闘の記録、胡椒栽培の挫折からアグロフォレストリーに活路を見出した篤農家などを、南部のサンタカタリーナ州で林檎栽培を劇的に改良した日系農家、リオグランデドスル州ポルトアレグレの老年医学研究所で多くの人材を育てた医師、サンパウロでの様々な分野で活躍した人達や、稲森盛和塾長(京セラ創業者)に師事するブラジル盛和会の活動、首都ブラジリアでセラード農業開発に挑戦する日系人などを訪ねる。そして日本では、鐘紡創業者で私財を投じて大阪に國民會館を建て、南米拓殖会社の設立にも携わった武藤山治氏の業績に触れ、多くの南米移民を送り出した神戸の旧国立移民収容所を、山形県鶴岡市で世界でも有数のアマゾンの民俗資料コレクションを持つアマゾン民族資料館を立ち上げた山口吉彦氏を、最後に日系ブラジル人等外国人子弟において、「鈴鹿モデル」といわれるほどになった鈴鹿市の元教育長を訪ねている。

開拓、連帯、創造、忍耐、人を育てる力を発揮し、名もなき人々による「常民文化の日本」の姿を、ブラジルの日系人との出会いの中で見つけようとする著者の熱意が感じられる記録。

(モラロジー研究所発行、廣池学園事業部発売2011年12月303頁1700円+税)