『開高健とオーパ!を歩く』  菊池 治男 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『開高健とオーパ!を歩く』  菊池 治男


1977年から78年にかけて集英社から出ている『月刊プレイボーイ』に連載された小説家開高 健のアマゾン、パンタナール釣りルポルタージュに、入社3年目の著者は開高健担当の編集者として65日間同行した。気鋭の若手写真家も同行して、当時としては空前のスケールの旅のノンフィクションは評判となり、多くの写真とともに綴られた大判単行本はかなり売れ、その後開高健による釣魚旅行はアマゾンの再訪やアラスカ、カナダからコスタリカ、スリランカ、モンゴルへとシリーズ化された。

この1977年の旅を、編集者が同行して見た小説家開高健との旅の記憶、その後十数年にわたった日本や海外への旅などを通じての開高健の言動や姿の記憶、33年後に著者があらためてブラジルを訪れている記憶を綴ったのが本書である。羽田空港からニューヨークで乗り換えリオデジャネイロ経由サンパウロに着き、一行はブラジル在住の作家醍醐麻沙夫氏の出迎えを受け、東京とシンガポールとほぼ同じ距離があるベレンへ飛び、マラジョ島を訪れ、アマゾン河を遡航してサンタレンで約3週間のアマゾンでの釣りに耽った後、陸路クイヤバへの街道を南下してパンタナールに入り、ドラド釣りに挑戦する。2週間の滞在後ブラジリアへ寄ってサンパウロから帰国した。

この間の様々なエピソード、鋭い観察眼と特異な表現力で不思議な魅力をもつ小説家の言動などが盛り込まれており、釣りを中心にした海外紀行文学を創りだし、多くの読者を魅了した開高健という作家の魅力をあらためて知らしめてくれる。

(河出書房新社2012年2月222頁1800円+税)