著者は、農水省農林水産政策研究所で早くからブラジルのバイオマスエネルギー源と食料生産に着目してきた研究官。ブラジルは、1970年代から自動車燃料としてアルコール(エタノール)の大規模生産と使用に邁進してきた実績があり、現在国家戦略としてバイオエタノール、バイオディーゼル、バイオ電力を3本柱とし、再生可能燃料で世界をリードしている。
これまでブラジルといえばとかくバイオエタノールが注目されてきたが、本書はバイオ電力産業の育成、バイオ燃料の普及、ならびにバイオエネルギーの将来と食料需給に与える影響に至るまでを解説し、電力供給に不安を抱える日本が学ぶべき政策を示唆している。
(日本経済新聞出版社 2012年1月 253頁 1,800円+税)
『ラテンアメリカ時報』2012年春号(No.1398)より