ラテンアメリカ、特にブラジルを中心に地理学、地域論を研究してきた著者が、現地調査の際に撮りためた沢山のカラー写真を駆使し、第?部「南アメリカの自然と産業」、第?部「ブラジル 動き出した南米の大国」、第?部「アマゾン 開発と保全の焦点」を判りやすく解説している。
各地の自然の成り立ち、地下資源や農牧業等の産業や開発の歴史、都市の姿、人々の多様な生活の背景などがよく理解出来る構成になっていて、あたかも著者の案内でエクスカーション(巡検旅行)に加わり周遊しているようであり、これまでの地理概説書にはない、視覚でも現地の状況が把握出来るように工夫されていて、手元に置けば南米・ブラジルの各地の姿を知るのに極めて有用なデータベースとなろう。なお、それぞれの写真には撮影位置についてのGPS情報が付記されていて、GoogleEarthで検索すると撮影場所と方向を確かめることが出来る。
(二宮書店2012年4月 190頁 3800円+税)
『ラテンアメリカ時報』2012年春号(No.1398)より