黒川直樹・田中厚子・楠原生雄編著
建築史など建築や美術の研究者が選んだ3国の様々な分野の建築を見る旅の案内。うちメキシコについては、メキシコ建築、伝統建築と環境の研究者である楠原環境大学大学院サブコーティネーターがメキシコ市と全土に点在する必見の建築と街並みを紹介し、次いで「テーマのある旅」として、メソアメリカ古代文明史の大井邦明京都外国語大学教授が「メキシコ高原とユカタン半島の古代都市を巡る」を、楠原氏が「アシエンダ:メキシコの土着的ホテルを巡る」を、最後に各国基礎知識として「早わかりメキシコ建築史」とお薦め本、索引も付されている。
「建築」という視線から古代文明遺跡、植民地時代の建造物、農園主の邸宅を改造した高級ホテルに至るまでを詳しく説明しており、「旅のコラム」として、メキシコが生んだ世界的な現代建築家のバラガンの世界、メキシコのバロック建築、植民地時代に建設されたコロニアル都市の魅力も取り上げている。メキシコ旅行ガイドや古代文明についての解説書は多くあるが、こういいた観点からのものはなく、建築として興味深い見方を教えてくれる。
(エクスナレッジ2012年2月207頁1800円+税)