『次なる経済大国 −世界経済を繁栄させるのは BRICsだけではない』 ジム・オニール | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『次なる経済大国 −世界経済を繁栄させるのは BRICsだけではない』 ジム・オニール


ゴールドマン・サックスのチーフエコノミストとして、2001年に発表したG7諸国と主な新興国との関係を分析したレポートの中で、人口が多く経済的に有望なブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国の成長が、今後数十年の世界経済の牽引役になるとして、その頭文字を取って“BRICs”と名付けたのが著者だが、そのレポートを出す前後の経緯や著者の半生を交え、この4カ国とそれに続くインドネシア、韓国、メキシコ、トルコを「成長国市場」とし、さらにエジプト、イラン、ナイジェリア、バングラデシュ、パキスタン、フィリピン、ベトナムを加えた「ネクスト11」の提起を含め、現在から今後の世界経済の展望を解説したのが本書である。

発表当時ブラジルを入れたのは語呂がいいからではといわれ、事実4カ国の中でブラジル経済についてはほとんど展望がないように見えたが、それでも2011年にはGDPがイタリアにほぼ並ぶとの予測は、2010年にイタリアを追い抜いたことで証明された。現在ブラジル通貨レアルは、BRICsの中では最も過大評価されているが、長期的に見ればインフレ抑制策の維持によって成長は持続可能としている。2010年にリオデジャネイロを訪れた際にスラム街にある旅行代理店を見たことも、ブラジル経済のデータの見方に彩りを与えてくれたという挿話を交え、ブラジルは投資という観点からは、BRICsの中で最も欧米に近く、民主的で国内資本市場が確立されていると高く評価しているが、すべてが順調に見えると欧米日の個人投資家の人気があまりに高いことは、リスクや機会、価値は常に比較評価しなければならないと指摘している。

中国の資産バブルやブラジルのレアル高による成長持続の危惧を否定するなど、全般的に楽観的すぎるきらいがあるが、グローバル化された世界経済の新たな潮流を説いていて分かりやすい。

(北川知子訳ダイヤモンド社2012年2月261頁1800円+税)