『南米日系人と多文化共生 −移民100年・・・その子孫たちと現代社会への提言』 福井 千鶴  | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『南米日系人と多文化共生 −移民100年・・・その子孫たちと現代社会への提言』 福井 千鶴 


日本人の多くは出稼ぎに来ている南米日系人をみて、現地の日系人やその社会を思い描いていることが多いが、その歴史、生活、生業、そして現地でも日本でも抱える問題点についての知識が欠け、多くのご認識、誤解がまかり通っている。

本書は、ボリビアの移住地を初め南米各地の日本人移住地やその社会をも訪れ、移住の歴史、現代の移住地や日系人社会の様相を紹介するとともに、現地日系移住地・日系社会で生じている若者の都会への移動による空洞化や農業等の後継者不足等から衰退が進む姿を明らかにし、移住地活性化のための方策を提起している。

それとともに、南米から日本への大量の出稼ぎの背景、日本に来ての日本人社会と南米日系人との連携、日本での南米人集住地域で起きている様々な問題を明らかにし、より良い地域社会を築くための具体的な解決策を提言している。

日本国内、現地での実情を取材した上で、南米日系人社会の問題を掘り下げて、それぞれの地での地域社会での共生の推進方策を提言していて、南米日系人社会を知る上できわめて参考になる労作であり、一読を勧めたい。著者は、日本大学国際関係学部准教授。

(沖縄観光速報社2010年5月266頁2000円+税)