連載エッセイ258:ピーター藤尾「チリの風」その16 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ258:ピーター藤尾「チリの風」その16


連載エッセイ 255

「チリの風」その16

執筆者:ピーター藤尾(在チリ・サンティアゴ)

「2023年6月26日~7月2日」

「政治」

1)ボリッチ動向

今週の話題は、先週の続きで新左翼RD党の動向と大水害の進行です。
ところで大統領府が発表した今週のボリッチ動向は一つだけです。住居省の新次官を任命した。それだけです。毎日、何もしていないか何も公表できないかのどちらかですね。
RD党関連で問題になっている住居省(呼び方は家屋省よりよさそうです)関連で、ボリッチはモンテス大臣に関しては「自分は彼を信用している。捜査するつもりは全くない」としましたが、警察の手が入れば全体像が明らかになるでしょう。事件の基礎はRD党員が作った貧困層援助の組織に政府が基金を援助したと言う事ですが、それがどう使用されたかが問題です。その話題の中心になっているぺレス議員は2週間ぶりにマスコミの前に顔を出し、「自分にやましいことはない。党首がやってきた運営に問題があったのだ」と責任逃れをしました。
RD党に関しては、新聞の社説で歴史から消えていくようだと書かれています。
その党を作ったジャクソンは自分たちは昔の古い世代とは考え方が全く違う。新しいチリ・新しい世界を作るのだと言っています。自分は議員としてもらう給料を半分寄付するとしましたが、その寄付を受ける組織は彼らが作ったもので、集まったお金は次の選挙の資金になるとか。口の上手いのはプロですね。そういうシステムにボリッチが参加しているのは当然で、そのうちボロが出るかもしれませんね。ジャクソンとボリッチは大学紛争の時からの仲間です。汚職問題が疑られるのはRD党だけでなく、他の諸党(共産党とか)も問題視されています。
野党側は新左翼のエラーをどうすれば最も有効に使用できるか検討中とか。それから従来の右翼グループで一番右はUDI党でしたが、近年それよりまだ右の共和党が勢力を伸ばしていますから、UDIを代表する次期大統領候補マテイ(彼女はプロビデンシア区長)はどうすれば共和党のカストと対抗できるか仲間と作戦を立てているらしい。

「経済」

1)銅価格と為替
銅の価格は先週よりかなり下がり1ポンド3.70ドルでした。年初は4ドルを大きく超えて4.3ドルに近づいていたのですが。為替はそれほど動かず1ドル801ペソで終わっています。2か月ほど前は1ドル900ペソを超えていましたからペソ高が鮮明ですね。
株式市場IPSAは先週と風が代わり、急に上向いて6月は5787ポイントで終わりました。3期連続の上昇で2018年1月の過去最高記録を超えるポイントまで行くのではと言われます。

2)新税制
ボリッチの残りの任期期間を何とかしのぐためには新税制が欠かせませんが、大蔵大臣と工業・商業機関のトップの話し合いは上手くいきませんでした。それではどこに焦点を当てて税金を上げられるのかと新聞に疑問視されています。何しろ頼みの銅価格が低め安定ですから。そして今年になって首都圏のマンションの賃貸し料が下がっています。都内の区によっては20、30%も昨年同時期より安くなっているとか。増税は困難ですね。

「一般」

1)犯罪
マプチェの地区で金曜日3回連続で住居が襲われました。誰かが住んでいるところへ多くの銃器で攻撃をかけます。殺そうとしているのか、弾丸が当たれば死亡することはわかっていて攻撃しているかです。そして過去5日間で12回の攻撃とか。もう毎日と言う感じですね。ほとんどすべてがマジェコ地区です。ボリッチが政権を握ったとき、内務大臣のシシェスがそこを訪問してマプチェと面談しようとしたところです。その時は彼女も銃撃を受け、すぐに首都に戻りました。
今日、都内で数人のグループが現行の警官に近づき(その時は仕事中ではなかったので私服でしたが)この警官のばかやろうと襲い掛かりました。彼は銃を持っていたので、それを取り出し、グループに発砲しました。二人に当たって倒れました。すぐに病院に運び込まれましたが、一人は死亡、もう一人は重傷です。警察署はこのニュースに反応し、同警官を即時免職にしました。この事件は正当防衛になりませんか?
犯罪が継続しているのは明白ですが、警察もちゃんと仕事をしています。毎日のように犯罪組織の摘発が報道されますから。犯罪とは関係ないですが、元警察軍のトップがピニェラ政権の時の社会騒乱は通常・正常レベルではなくモネダ宮殿が崩壊するのではないかと心配されたとコメントとしました。ボリッチのグループがそのリーダーだったのですが。

2)水害事故
21000人の被害者が出ていますが、問題は少しづつ軽減しています。
さて南部のリカンテンの病院に川の水が流れ込みました。そこに働く88人の職員の中で27人の自宅が水害に会いましたが、病人の看護が重要としてその人たちは通常勤務を継続とか。仕事の後に家の掃除ですね。素晴らしい。ありがとう。政府は被害者への援助を早急に実施したいとしています。
今年の始め、山火事で多くの被害が出た地区があります。そして半年して今度は水害です。サンタ・フアナとチヤン地区です。山火事で家屋が全焼し、その後掘っ立て小屋を建てて生活していました。つまり苦しみの中の安定だったのでしょうが、水が床上浸水してくれば、そのままそこには住めません。どんな悲しい思いか想像するだけで気の毒です。
以上

「7月3日~7月9日」

「政治」

1)ボリッチ動向

イタリア大統領のチリ訪問
モネダ宮殿で面談した後、ボリッチはイタリア大統領とモネダで会えるのは最高の喜び、さらに彼はパタゴニアのプンタ・アレナスも訪問されるが、自分の故郷を訪ねてもらえるのはうれしいとコメントしました。

外遊
ボリッチは来週、欧州に外遊します。ブリュッセルで国際会議に参加した後、フランスとスペインに寄って帰ってくるとか。もっとも今は外遊する時ではないだろうと言う批判も出ています。水害の時、南極に行っていましたからね。
ボリッチとは関係ないですが、もうすぐ実施されるアルゼンチンの大統領選挙に参加する一番右の候補ミレイがチリを訪問し、チリ共和党のカストと面談したほか演説会を実施しました。彼はチリの政権は左寄りだとし、バチェレットもピニェラも社会主義者だとしました。ピニェラは右翼なのですが?そんな彼はボリッチを罵倒しました。チリを批判するよりアルゼンチンの破産を心配してください。

新左翼RD党のスキャンダル
南部のモリナを訪問し、水害で壊れた家に代わる緊急家屋の建設の進展の様子を見ました。そこで新左翼のRD党の件を記者団に聞かれると「すべて司法の手に任せ、不正があればそれを処罰すると言う方針は変わりません」とコメントしました。彼は問題の深刻化を防ぐため、こうした問題で出てくる非営利団体と政府の関係・コントロールの実態をはっきりさせるための委員会を作り、45日以内に最終報告書を出させることにしました。恐らく政府にとって有利な結果にはならないでしょうが、それをはっきりさせると言うのは立派なものです。
この政府基金で民間の非営利企業を援助して簡易住宅を作ると言うシステムは以前からあり、ピニェラ・バチェレットの時代でも実施されていました。ということはその頃から問題はあったけど見つからなかったのか、昔は不正がなかったのに新左翼が悪さを始めたかのどちらかでしょう。
今まで北部のアントファガスタで怪しい動きがあったのですが、それが飛び火して他の地区でも疑惑が出ています。なんでも8つの州で問題があるとか。この住居問題のほかに学校給食でも不正があったと言う話が出ています。野党側は、二人の大臣、住居省のモンテスと社会福祉省のジャクソンを罷免するように要求していますが、ボリッチは聞く耳を持たないと言う感じです。大臣はともかく次官は何人も辞任(か解雇)しています。内部で不正が明らかになってきているのでしょうね。そこで新聞に孤立するボリッチという論調がありました。野党の大臣罷免の声が大きくなると、最終的には大学時代からの仲間でRD党創設者のジャクソンを外すと思いますがどうかな?私の想像です。
今日、ボリッチは陸軍学校に行って国旗宣誓式に出席しました。今年は軍事革命50周年ですから、その記念日の9月に向けて緊張感が高まります。共産党は
陸軍を潰すとか自分の支配下に置くとか言い始めるでしょうね???

世論調査
ボリッチを支持するは36%、不支持は51%でした。その数字を見るとひどい不人気と思えますが、社会騒乱になったころのピニェラはそれよりずっとひどい数字でした。先週、右翼政党の争いを書きましたが、その世論調査では次の大統領としてUDI党のマテイが20%で、共和党のカストの16%を越えました。

「経済」

1)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド当たり3.76ドルと先週と同じ。為替も1ドル804ペソでほとんど同じでした。

2)経済成長率
5月は何と2%のマイナス成長になりました。過去12か月でマイナス1.1%。今年のプラス成長は難しそうですね。鉱業、特に銅の生産に影が差しています。5月は過去6年間で最低レベルとか。コデルコだけでなく民間の鉱山も不調です。逆にリチウムの方は順調でアメリカのアルべマルデ社は1-3月に国庫に3.8億ドルを納入。これは昨年の約2倍とか。急上昇ですね。チリのソキミチ社も同じように好調らしい。

3)株式市場
なんと過去最高だった2018年の5880ポイントを超え、今週5935ポイントが記録されました。景気の落ち込みと株式市場は動きが違いますね。

4)物価上昇率IPC
6月の数字はマイナス0.2%と驚きの数字。過去12か月で7.6%、今年の上半期は2.1%とほとんど正常化してきています。ということはUF建てで借金をしている人は来月は支払額が少し下がると言うことです。良かったね。大雨の後、食品の価格が急上昇しています。例えばジャガイモは40%。それに関し農業大臣は水害地の採集に問題が起きた事と運送問題もあったからでそれはすぐに正常化するだろうとしています。

5)新車の販売
6月の売り上げは22676台と前年同月より37%のマイナス。また今年前半の販売数は昨年同期より30%の減少と落ち目は隠せません。今年の上半期の新車の販売台数で上位の2車が日本ブランドでした。

「一般」

1)地震
今日の昼頃、M5.6 の地震が首都圏近郊で起きました。都内のスーパーマーケットで棚に並べられていたワインの瓶が倒れ床がワインだらけになったり、ビルの
エレベーターが故障して中に乗っている人が出られなくなると言う事故も起きました。もちろん、それくらいの事故でビルが倒れ死傷者が出るほどではまかったですが。その内、もっと大きな地震が来てサン・ラモン地区のビルが軒並み崩壊すると言う大事故が起きそうとか。

2)大学ランキング
ラテンアメリカの大学ランキングが発表されました。何とチリのカトリカ大学が1位、チリ大学が9位でした。トップ10にブラジルから7校が選ばれています。ブラジルはそれほど大学が発展しているのですね。以前の結果とかなり違いますが・・・。以 上

「7月10日~7月16日」

「政治」

1)ボリッチ動向
欧州へ外遊しました。先ずスペインでサンチェス大統領と面談。ボリッチは彼に「あなたはスペインの内政をうまく運営し、ラテンアメリカとのコンタクトもベストです」とコメントしました。それに関し、大統領選挙中のスペインで、それを言うと他の候補者が勝った場合、チリに対するイメージを傷つけると言う声が出ました。もちろんそれはボリッチがまだ若いからでしょうね。その後、スペイン国王とも挨拶をかわしました。そして軍事革命50周年の集会に参加してチリが置かれた現状を説明しました。スペイン政府関係者だけでなくかなり多くの参加者があったようです。
そこでガルソン元判事に会い、彼に感謝の言葉を捧げました。その元判事はピノチェットがイギリスに行ったとき、1998年ですが、ピノチェットはチリで多数の市民を虐殺したと訴え裁判にしようとしたわけです。ピノチェットの運命を変えました。更にその場で、チリ人記者に9月の軍事革命50周年記念の儀式をすべての政党・関係者を集めて実施するとコメントしました。共産党は通常の儀式なら、それを認めないと強硬です。そしてそこに右翼の政党、UDI党と共和党の参加は拒否するとしています。最近、テレビで毎日のように50周年記念に関する番組が組まれています。

出版記念式典 
民主化しての最初の大統領エルウィンに関する本が出版されました。軍事革命50周年記念ですからボリッチもその記念式に出席しました。そこへ来たバチェレットが「50年の歴史を私たちはよく理解しなければならない。いまだにチリの大統領で最も素晴らしいのはピノチェットだと言うグループがいる」としました。共産党もピノチェット批判をするのと同じように自分たちの失敗も考えなければいけないと思いますが。
エルウィンが大統領になったとき、ピノチェットはまだ軍の代表でした。つまりエルウィンと上手くいかなくなれば第2次軍事革命を起こす可能性もあったかもしれません。そんな状況下で自分の思想を明確にしそれを実現させる努力をしたエルウィンは素晴らしい大統領でした。

文部大臣の弾劾議会
国会でそれが実施されました。現状では野党議員の方が与党より多いので、通常なら文部大臣は失職するはずです。しかし与党グループの一つのエボポリ党の一部議員がそれに反対したため78対59で否決されました。野党の中では大騒ぎです。じゃ次の選挙でエボポリは野党仲間ではなくなるのかな?エボポリの党首は各党が自主性を持って問題にあたることにしたいと方針をはっきりさせています。野党連合の危機と報道されました。右も左も混乱は同じようですね。
新聞の社説に文部大臣はその職を確保したが、野党が疑問視した彼の職務については結論は出なかった。つまり教育レベルの停滞もしくは上昇をできない点が問題として残ったとしています。簡易住宅建設の問題点はもうはっきりしているのに、誰がその責任を取るのか分かりません。司法が上手く機能していないのでしょうか。
その他に学校給食の件が出ましたが、いろんな分野で同じような問題が隠されているでしょう。その例としてレコレタ区が区営の薬局を運営していますが、同じように不正が起きているとして司法の手が入りました。同区の区長ハヅゥエは共産党員です。与党の新左翼・共産党が不正をしているのは明白ですね。右翼の元ビタクラ区長が裁判になっていますが、右も左も同じです。
病気の治療に手術が必要ですが、チリは病院・医師の不足から長い間待たされます。半年とか1年とか。で、その間に症状が悪化して死亡する患者がもう1万人にもなったとか。医者の数を増やすため各病院が医師を雇用すれば、もちろん給与を払う必要がありますが、その支出を賄える収入が無ければ、どの病院も医師数を増やしません。チリの患者はそんな高い費用を払う力はありません。それが実態ですね。厚生大臣の責任とは言えません。

「経済」

1)銅価格と為替
1ポンド当たり3.92ドルと先週よりかなり上がりました。嬉しい。私は銅に投資をしているのではありませんが、銅価格の上昇が素直に喜びとなります。為替は1ドル809ペソと800ペソを切っていますから、ややペソ安ですね。

2)IPSA
チリの株式市場IPSAで歴史的に始めて6000ポイントを越えました。水曜日に6050まで行きました。そして木曜日、それをさらに越え6100ポイントまで。すごい。金曜日も6000ポイントを超えて今週を終えました。みんなニコニコ顔でしょうね。株価と経済の実情が同じ道を歩いていないのが不思議です。

3)労働市場
労働は正規職員と非正規職員に分かれます。その非正規分の割合が世界で一番低いのは日本とアメリカで19%。チリは低い方ですがスペインと同じ27%。ブラジルは39%です。

「一般」

1)犯罪の増加
10万人当たり6.7人の殺人が記録されました。コロナ問題の前の3年前は4.5人でしたから50%も上昇しています。一番悪いのは首都のサンティアゴでそれに続いて北部の州です。そこは不法移民がチリに密入国してくる地区です。サンティアゴでも一部の地区に犯罪数が多く、その地区に住む人が違うところに移ろうとしても「誰も私の家を買ってくれない」と嘆いていました。そうでしょうね、危ない地区にわざわざ行くのは麻薬組織だけでしょう。
ピニェラのころ、左翼が「犯罪の増加、治安の悪さは政府の責任。ピニェラは全く無能だ」と言っていました。じゃ、ピニェラのころより50%も殺人が増えるなんて、「私たちのリーダーのボリッチは何をしているのか」と言うべきでしょうね。ピニェラのころには
外国からの麻薬組織はあまりなかったようですが、今はどこの州にでもあると言う感じです。警察がのんびりしているとは思えませんから、どこに問題があるのかな?   以上

「7月17日~7月23日」

「政治」

1)ボリッチ動向
欧州に外遊してベルギーで欧州・ラテンアメリカ会議に出席しました。会議で彼はウクライナ戦争に関し、ロシアの責任だとしました。それをドイツの新聞がチリの左翼の大統領が明確にロシアの責任としたのは素晴らしいと評価しています。
その後、フランスに行き、マクロン大統領と面談しました。活躍しているように見えるし、何も役に立っていないようにも思えます??不思議なのは大統領府の広報で彼の参加した会議の件が全くありません。彼が書かないように指示したのかな? 何か理由があるのでしょう。さてその会議の前にブラジルの大統領と話し込んだようです。ルラ大統領は自分の子供の様なボリッチを励ましたのか、注意したのでしょうね。ルラはロシアの味方をしていますから。
ところで国内問題ですが、身内の新左翼政党に、現在はいくつもの党に分かれていますが、それを一つに統一できないかと呼びかけました。RD党が破産寸前ですからね、統一した方がイメージは良くなるでしょう。
もっと大事なことですが、新聞の日曜日特集で「あと50日になった50年記念日」が出ました。軍事革命50周年記念日ですね。その日にどんな行事を行うのかまだ決まっていないようです。一番簡単なのはカトリックの大司教を呼んで平和が一番大事ですと言わせて終わることです。もちろん、あちこちから批判は出るでしょうが、軽い批判ならニッコリ笑って見逃せます。

2)事件
今週の最大の話題は社会開発省でパソコンが23台盗まれた事です。何それと言う感じですね。どうしてそんなことができるの?新聞に盗難の仕組みが書かれましたが、やっぱり不思議です。そして同じく不思議ですが、すぐにその泥棒が見つかり、パソコンは全部、警察の手に入りました。右翼のUDI党はその省の大臣ジャクソンを解雇しなければ、もうボリッチ政権と年金改正の協議をしないと圧力をかけています。内閣府は 事件の全貌をはっきりさせ、どこに問題・責任があるかを調べる。そしてその後にそれを公表する。今の段階でジャクソンを外せとするのは政治的な動きとしか言えないとしています。年金改正は党の関係ではなく中高年市民に大きな影響を与えるわけで、それをネゴ中止とは何事かとしています。

3)新憲法委員会
もういつもと同じと言えますが、右翼と左翼が自分たちの好きなような内容を提示してそれが否定されるとけんかになると言う感じです。UDI党選出の委員が「前回と同じエラーをしているようだが、それならこの委員会の意味はない」とコメント。その通りと思います。

「経済」

1)銅価格と為替
銅価格は先週とほとんど同じ3.82ドル。為替は火曜日に820ペソまで上がりドキッとしましたが最後は807ペソで先週と同じくらいでした。

2)株式市場
今週はほんの少し下がりましたが、6302ポイントで終えました。ほとんど歴史上の最高ポイントをキープしています。どうしてそんなに好調なのでしょう。

「一般」

1)交通渋滞都市
世界の都市の交通渋滞度を調べる調査がありその結果が発表されました。1位がボコタ、2位がマニラ、3位が札幌でした。昔、私は札幌に住んでいましたが、それほどひどいとは思っていませんでした。いや、最近ひどくなったのかな?ひどい方の10都市に日本から3都市が入っています。札幌、名古屋そして東京です。サンティアゴは41位でした。それくらいなのでしょうね。

2)旅行
国内線の乗客数がコロナ問題前に戻ったわけですが、その航空会社の定期着陸率が発表になりました。今年前半ですが、時間通りに着陸するのは1位はイベリア航空、2位はアビアンカそして3位はチリのラタムでした。チリの飛行機会社も世界レベルですね。

3)事件
またいつものようにアラウカニア州で林業会社の作業員を移動させるバスが襲われ全焼しました。そばに刑務所に入っているマプチェの釈放を要求するパンフレットがありました。それから刑務所から囚人が脱獄しました。囚人が屋根を歩いて道路側に行き飛び降ります。それがビデオにとられています。チリの刑務所の安全はひどいですね???
ラ・デエサのモールに強盗グループが入り、商店に被害が出ました。そのモールの前に日本人学校があります。

「7月24日~7月30日」

「政治」

1)ボリッチ動向
世論調査でボリッチを指示するは27%、不支持は62%でした。今までと大きな違いはないですね。今週は南のビオビオ州に行き、そのアルト・ビオビオで先住民のペウエンチェ族と交流しました。私もそこへ2回行ったことがあります。

国会
共産党とキリスト教民主党DCが手を組みました。その結果、下院の新議長にDC党員が選出されました。憎みあっているような両党が何かの利益があると手を組むこともあるのですね。

ジニ係数
貧富の差を表すチリのその指数は前回の2020年は0.51とかなり悪かったのですが、今回の2022年は0.47と今までのトップの数字でした。つまり所得格差が大きく改善されたわけです。チリ社会はそんなに良くなっているのでしょうか? 同じ件ですが、チリの組織カナンの発表で貧困者層が急激に減少しています。現在は6.5%とか。それは歴史上最小の数字です。さらにその中で極貧層は前回の4.3%が今回は2%と半減です。つまりピニェラとボリッチはよく働いているわけです。あまりそれを感じることはないですけど。
新左翼RD党が作った組織が家屋省からもらった金を正当に使用していなかったと言う疑いが続いていますが、その疑惑の金の一部を戻すと言われています。もらった金をどこに・いつ・いくら使ったはっきりさせ、契約した事項が実施されていないなら詐欺罪で訴えるべきでしょうね。
来週、教員組合が2日ストに入ると言われます。それに関し、ピニェラが「ボリッチの政策は大衆迎合主義で、教員に給料をどんどん上げると言ってそれを実施しなければ教員組合が怒るのは当然で、彼らは通常ではないと言うのはおかしいのでは」とコメント。さぁ、どうなるでしょう。
右翼のUDI党がボリッチを外さなければ、厚生年金問題などの政府との交渉を中断するとしていますが、それに関して、ボリッチは次のように言えばどうでしょうか?
「私たちは国民のためになるよう現行の法案の改善改革を用意していますが、それに関する議論をUDIがしないとします。次回の選挙で私たちの政権が仕事をしていないのか野党のUDIが邪魔をしているのかを判断してもらいましょう」

「経済」

1)銅価格と為替
1ポンド当たり3.90ドルと先週とほぼ同じ。為替は1ドル826ペソとややペソ安になりました。

2)チリ株式市場
IPSAが今週、また新記録を出し6411ポイントまでいきました。上昇気流が継続です。

3)失業率
4-6月の期間の失業率は8.5%となりました。過去12か月で0.7%の上昇。つまりそれほど悪くもならないが良くもならないと言うことですね。

4)公定歩合
チリ中銀はもうインフレの問題は終わったとして現行の11.25%から10.25%に大きく下げました。2020年の3月からずっと上昇していたのですが久しぶりに下がりました。2021年の始めは2%以下でしたから、今回の10.25%はさらに下がるでしょうね。それがチリ経済にどう影響するか、銀行ローンを組んで購入する家屋の販売には影響があるでしょうね。

「一般」

1)犯罪の増加
この問題は長い間継続していますが、犯罪の増加の原因は不法移民の増加、裁判所の判決が不適当(緩すぎる?)、それに麻薬問題の拡大が言われます。しかしこれに対し警察は適宜な対処をしており、犯罪の抑制を達成しているとする意見が多いとか。確かに犯罪の増加を警察が抑えていると言うのは感じます。先週社会開発省で23台のパソコンが盗まれましたが、同じような犯罪が文化省でもありました。テムコの政府事務所でも盗難があったとか。そんな事務所には誰でも入れるわけはなく、どうしてチェックが出来ないのか不思議です。それとはまったく関連無いですが、都内の学校で生徒が学校封鎖をし、それに関連して火炎爆弾が爆発し、それに巻き込まれた学生が重傷です。その学生が爆弾を扱っていたとしたら自暴自爆ですが、高校生からそんな事件があるわけですね。