『人類大移動 −アフリカからイースター島へ』 印東 道子編著 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『人類大移動 −アフリカからイースター島へ』 印東 道子編著


700万年前のアフリカで、「猿人」が誕生し、森から草原に移動して二足歩行を始め、知能を発達することことで道具を使い、外敵と闘いながら進化した「原人」は約180万年前にアフリカ大陸を離れで大移動を開始した。「旧人」「新人」と進化し、20万年前に今の人類の祖である「ホモ・サピエンス」となり、少なくとも5万年前頃からユーラシア大陸北部などの寒冷地や海洋に乗り出し、全地球に大移動を始める。

アメリカ大陸へは、氷河期で海面が低下し2万7000年前に出現したベーリング海峡の陸橋を渡ったと考えられるが、氷期でも無氷回廊が出来て南下出来たのか? チリ南部の遺跡の古さから無氷回廊が出現する以前に西海岸沿いに南下し、南米南部まで移動したのか?その先に渡った先住人と後から来た移住者との接点はどうだったかなど、遺跡や石器等の考古学調査結果と先史時代の自然環境、さらにはDNA遺伝子研究の進歩により判明したことを総合的に推理する「第3章 最初のアメリカ人の探求」(関 雄二国立民族学博物館教授)の論考や、ユーラシア大陸を南下してアジアから太平洋に漕ぎ出してマルケサス諸島に至った人類の一部がイースター島にまで到達したという言語学研究からの推理などを紹介した「第4章 海を越えてオセアニアへ」(印東道子総合研究大学院大学教授)の論考など、本書はこの人類の大移動の軌跡を、考古学、古地理学、古生物学、古環境学、人類学、遺伝学などの分野の13人の研究者が全8章と6つのコラムで分かりやすく解説したものである。

(朝日新聞出版2012年2月262頁1400円+税)