『カンタ・エン・エスパニョール! −現代イベロアメリカ音楽の綺羅星たち』 ホセ・ルイス・カバッサ - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『カンタ・エン・エスパニョール! −現代イベロアメリカ音楽の綺羅星たち』 ホセ・ルイス・カバッサ  


アルゼンチンで活躍するジャーナリスト、コラムニストである著者による、アルゼンチンをはじめウルグアイ、キューバ、スペイン、米国、ペルー、ブラジルから来た22人のミュージシャンへのインタビュー集。

ここで取り上げられた歌手、作曲家、ギターやバンドネオン等の演奏家、シンガーソングライター、詩人たちは、ポピュラー、ジャズ、フォルクローレ、タンゴ、レゲー、ロックなどさまざまな分野にわたっており、いずれも現代のミュージシャンとして評価され、スペイン語で歌い語っていることが共通している。

アルゼンチンの音楽というとタンゴやフォルクローレと思われており、本書にもメルセデス・ソーサも登場するが、むしろジャズ系やスペイン語で歌うロックが近年注目を集めている。日本では、本書でも取り上げられているブラジルのエグベルト・ジスモンチや同じくポピュラー音楽(MPB)のカエターノ・ヴェローゾ、ロックのヒタ・リーなど以外でもブラジルのボサノバやMPBについての紹介書や音楽記事が多いが、あまり知られていないスペイン語で活躍する現代のミュージシャンの実像を、巧みなインタビューで彼らの生き様やそれぞれの音楽に賭けてきた人生を語らせており、新しい音楽動向を知ることができる。

(八重樫克彦・由貴子訳新評論2012年10月211頁2200円+税)