2006年に書かれた同名書から6年半が経ったことから、全般的には最小限の加筆、修正、圧縮を行いつつ、この間最も変化の大きい政治、外交、経済や社会の動きを中心に、左派政権による「市民革命」を標榜するコレア政権についての章を加えている。
「自然環境とその利用」から始まり、先史時代から現代に至る「社会の形成と発展」、先史時代文化から先住民、アフリカ系をも含む国の「文化とアイデンティティの探求」、教育・言語、民話から文学、美術、舟行、音楽、食文化、スポーツまで「豊かな生活文化」、キト、グアヤキル、クエンカの「都市の風景」、アマゾン、ガラパゴス等のエコツーリズムや観光開発の動きから「地域と民族の活力」、コーヒーやタグア(ボタンの材料)栽培とフェアートレード、バナナ産業などの「開発の歩みと展望」、外交・国際経済、対日関係や移民の歴史を通じての「対外関係」の8編60章と8編のコラムから構成されており、エクアドルの解説書の少ない中で、依然有用な手引きである。
(明石書店2012年12月374頁 2000円+税)