【要旨】中国で開催された東アジア・ラテンアメリカ研究協力対話において、資源・エネルギーを中心とするこれまでの貿易投資関係の発展に加えて、貿易統合のさらなる進展と将来のインフラ連結、クリーンエネルギー、デジタル経済、食糧安全保障に関する両地域の協力の可能性が議論された。中国政府はラテンアメリカ研究を支援し、開発経験の共有を進めて西洋式近代化を唯一のモデルとしない中国式現代化への共感を醸成している。
価値観外交を推進する日本は、中国が一帯一路等を通じた物的経済協力の大きさに加えて、各国の独自性に基づく現代化を共に追及するための質の高いパートナーシップの構築を訴求するソフト戦略でもラテンアメリカを魅了しようとしていることを認識すべきである。
キーワード；価値観、中国式現代化、質の高いパートナーシップ、ソフトパワー
『ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート ILAC2023-06 2023 年８月』「中国のラテンアメリカ研究事情 ―東アジア・ラテンアメリカ研究協力対話・第４回国際会議から―」浜口伸明 舛方周一郎