キューバの名産といえば誰しも葉巻だと知っているが、具体的にそれがどう栽培され、収穫され、加工されて作られているかくらいまでは、キューバの概要を解説した本や観光案内書でも簡単に触れているが、さらに葉巻の種類やサイズの違い、キューバだけでもどのような銘柄があるのか、キューバ政府がそれぞれの品質維持のために保証シールを出しているが、その識別をどのように読むか、葉巻の包装や葉巻に付きもののシガーボックス、カッターその他の用品、上手な喫煙法などについては、よほどの好事家でない限り知らないだろう。
本書はシガー・パーティで葉巻の魅力に取り憑かれ、以後毎年キューバに通う写真家、デザイナーである著者が、2004年に出した『ハバナシガー、紫煙の誘惑 Discover Habanos』(東洋出版刊)の全面改訂版で、タバコの歴史からタバコ葉の種・苗木栽培、収穫、工場での熟練職人による葉巻の製造、すべてのキューバブランド(Habanos)の種類、銘柄とそれぞれの特色、ハバナ産シガーの識別法、包装や付属品などと保存法や上手な愉しみ方に至る全容を、すべてカラー写真で展開している。タバコ愛好家ならずともシガー文化の奥深さが感じられる案内書である。
なお、著者には『遙かなる風キューバ』(東洋出版、2000年)や『母なる大地の風ドミニカ共和国』(東洋出版刊、2002年)の著作もある。
(現代書林2012年9月259頁2800円+税)