講演会報告:環境省・公益財団法人地球環境センター「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業と関連するCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)の動向について」 2023年8月25日(金)10:00~11:30(日本時間) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告:環境省・公益財団法人地球環境センター「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業と関連するCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)の動向について」 2023年8月25日(金)10:00~11:30(日本時間)


【演題】
 1.「二国間クレジット制度(JCM)の最新の取組み状況及び関連するCOPの動向について」
 2.「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業のうち設備補助事業の活用およびJCM Global Matchの活用方法」
【共催】 公益財団法人地球環境センター
【後援】 環境省社団法人 日本在外企業協会
【講師】
 1. 柏栁 太郎氏 環境省 地球環境局 国際脱酸素移行推進・環境インフラ担当参事官室 環境専門調査員
 2. 竹山 典男氏 公益財団法人 地球環境センター東京事務所事業第二グループグループ長
   宮本 明佳氏 地球環境センター 企画官
【日時】 2023年8月25日10:00~11:45
【場所】 オンライン
【参加者】 87名

 本講演会は、環境省によるJCMの取り組み状況とその背景についての説明と、地球環境センターによるJCM事業への応募・参加における要件、留意点等の説明の2部構成であった。なお、講演に使用されたパワーポイント資料は別途協会ホームページに掲載される。

講演1.「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業と関連するCOP(国連気候変動枠組み条約締結国会議)の動向について」

 2021年、日本は温室効果ガス削減の中期目標を2013年度比26%減から46%減へと改定すると共に二国間クレジット制度(JCM)を導入した。これにより、官民連携で2030年度までに累積1億トン-CO2の排出削減を行うこと、2025年を目途にJCMパートナー国を30か国程度とするという目標が立てられた。2023年7月現在、JCMパートナー国は27か国、JCM資金支援事業案件は232件におよび、タイ、インドネシア、ベトナムでの案件が多くなっている(ラテンアメリカではコスタリカ、メキシコ、チリ)。これまでのJCMプロジェクトのほとんどは再エネ・省エネ分野であるが、廃棄物利用など新たな分野も出てきた。

 環境省はCOP26(2021)の6条実施方針に対して、以下の3つのアクションプランによる対応を行っている。

 ①JCMパートナー国の拡大と国際機関との連携、
 ②民間資金を中心としたJCMの拡大、
 ③市場メカニズムの世界的拡大への貢献。

 柏栁氏の講演に対する質疑では、JCMの応募に必要な準備事項と新規パートナー国の見込み、JCMによって創出されたCreditの配分、今年度のJCMの申請期限、中国とのJCMの可能性、2050年の後の地球温暖化の状況、補助金の機器の一部への適用の可否、JCM関連予算について、等多くの質問が出され、丁寧なお答えをいただいた。

講演2.「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業 設備補助事業の活用」

 竹山氏はまず、「公益財団法人地球環境センター(GEC)」とJCM制度を紹介した上で、JCM設備補助事業の具体例を紹介された。さらに、JCM設備補助事業への公募要領について細かな説明がなされた上で、案件形成のポイントとして、許認可の取得、資金調達が確実なこと等7項目が提示され、JCMに関心のある企業にとって有用な多くの情報を提供された。

 宮本氏は、JCM Global Matchサイトを投影して紹介した上で、脱酸素化ビジネスに関心のある企業に対してこのサイトへの登録(所要時間約1分)と利用を勧められた。同サイトには現在940アカウントの登録(40%が日本、60%は外国(45か国))があり、JCMにおける現地パートナー企業を探すことが出来る上、国別事例や採択された案件を見るサイトに遷移することが出来る。

 講演会の第2部に対する質疑は時間的制約から1問に限られたが、国際コンソーシアムの形成に当たって、メーカーと商社が代表事業者となる場合の違いについての質問が取り上げられ、双方のメリット、デメリットについて説明がなされた。


<会員限定:資料・録画>環境省・公益財団法人地球環境センター「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業と関連するCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)の動向について」