執筆者:Ruben Rodriguez Samudio(早稲田大学法学研究科講師・パナマ共和国弁護士)
A. 失業率
統計局が失業率の情報を発表した。2023年8月時点では失業率は8.9%であり、前年同期比1.0%減少している。さらに、インフォーマル・セクターは約49%を占めているとわかった。民間企業での新規採用が下っている一方、公務員の採用は増えているため、批判する声が上がっている。特に、選挙前では公務員の採用は予算の無駄使いのみならず、選挙の勝利を確保するための手段として利用されているという見解がある。
商工会議所の求人状況に関する報告書によると、15歳から29歳の年齢層における失業率は20%であり、全体的に失業率の54%を占めている。また、民間企業における平均収入は月728ドルであり、労働者の割合として70%は月1000ドル以下、25%は月800ドルから1500ドル、12%は月1500ドルから2999ドル、残り3%は3000ドルだとわかった。
B. パナマ運河の干ばつ
パナマでの干ばつによるパナマ運河の通航には、最大11日間待ちとなっており、現在、134隻が影響されている。キハノ元局長はパナマ運河には二つの人造湖があるが、近年における干ばつ状況は増加しているため、新たな人造湖が必要だと述べている。運河の渋滞は、国際的に注目されている。コロンビア大統領は、順番待ち船の写真をリツイートして、運河が閉鎖しているとコメントした。これに対して、コルティソ大統領は、過去にも似たような状況があって、通航制限を認めたが運河が閉鎖していないと投稿した。また、メキシコの大統領は、運河の状況をきっかけとし、テワンテペク地峡を通して、商品の運送を提案している。
A. 移民問題
アメリカに向かっているコロンビアから入国する違法移民問題が悪化している。入国管理局のデータによると、ダリエン県から入国する者は一日当たり約3000人、8月中旬時点では300,000人を超え、2021年(約134,000人)および2022年(約250,000人)の人数を上回っている。入国管理局長のサミラ・ゴザイネによると移民危機に対応するには既に70,000,000ドルが充当され、移民が先住民の土地を占有したり、川等を汚染させたりしている。また、移民中、ギャングやテロ組織に属している者も発見され、レイプのような犯罪が起きているため、国境の閉鎖を検討している。コルティソ大統領は8月22日にアメリカ政府の代表と移民問題についての対話を行った。
B. アメリカとの自由貿易協定
コルティソ大統領は、アメリカに政府に対して、2007年に署名された自由貿易協定の改訂を求めることが発表した。自由貿易協定は、2012年から施行され、徐々に関税免状対象商品リストは拡張される。そのうち、農家にとって重要な商品である牛肉、豚肉、鶏肉、米、乳製品についての改訂が必要だとパナマ政府が述べている。コルティソ大統領は、近年自由貿易協定の改訂を求めているが、アメリカ政府が再交渉しない姿勢を示している。
以 上