【演題】「『ポピュリズム大陸南米』4年半の現地取材で見た混乱と今後の展望」
【講師】外山 尚之氏 日本経済新聞社 前サンパウロ支局長(現 GXエディター)
【日時】2023年9月8日(金)10:00~11:30(日本時間)
【場所】リモート
【参加者】61名
外山氏は2017年4月から2021年9月までサンパウロを拠点に南米各国を取材してこられ、本年6月、『ポピュリズム大陸南米』と題する著書を日本経済新聞出版から上梓された。本講演会では同書をベースに、多くの現場写真を示しつつ、主にベネズエラ、アルゼンチン、ブラジル(時間の関係でチリ、コロンビア、ペルー、ボリビアについては短くしか触れられなかった)について、臨場感のある話を聞くことができた。
ベネズエラ:経済崩壊からハイパーインフレーションを経てドル化/キャッシュレス化が進む様子、チャベスの根強い人気、ベネズエラと国境を接する国々におけるベネズエラ人難民・労働者の生活等々が生々しく語られた。
アルゼンチン:マクリ大統領と経済政策に対する大きな期待があったが、結果として通貨安に陥り、人々の関心は不動産と外貨に向くようになった。しかし、豊富なリチウム資源の存在に期待でき、日本企業の参入もある。
ブラジル:人気のなかったテメル大統領に代わってボルソナーロが大統領になった。ボルソナーロは世間で言われているような悪い人物ではなく、インタビューでは感じの良い人間という印象を受けた。しかし、トランプに接近したことやアマゾン開発に関する発言等は良くなかった。
講演の最後に石油が発見されたガイアナが現在最もホットな国である、とのお話しがあった。
講演後の質疑応答では、南米のポピュリズムと日本の違い(著書の最終章は「ポピュリズム大陸から日本への警告」)、1980年代のポピュリズムと最近のそれとの違い、ポピュリズムの背景、ボリビアの日系コミュニティが強い存在である理由等多くの質問が出され、興味深い回答をいただいた。