メキシコ各地には、先住民の女性達が着るウィピルという伝統的な巻頭衣やブラウスにあしらわれた刺繍（Bordado）は、実に図案とステッチの種類が豊富で美しい。地方により異なる刺繍は、その地域のシンボルであり、部族のアイデンティティでもある。本書は南部オアハカ地方を中心に、各地の衣装刺繍を紹介する「メキシコ刺繍図鑑」、オアハカでの刺繍の作り手６人の仕事ぶりと作品を訪ねる「手仕事の街オアハカ」、8つの地域に16の種族がそれぞれの伝統的な手芸を伝えるオアハカの刺繍の概要とテキスタイル博物館や6軒の専門店の紹介、メキシコ刺繍と暮らす7人の日本人・メキシコ人女性、日本でメキシコ刺繍が手に入る店の紹介、そしてメキシコ刺繍の主なステッチと図案の事例と針の使い方の簡単な解説がある。
全ページが美しい刺繍のカラー写真で埋め尽くされ、眺めるだけでもメキシコ刺繍の魅力を堪能させてくれる。
（誠文堂新光社2012年11月128頁1600円＋税）
