【演題】「『世界の中のラテンアメリカ政治』ブックトーク」
【講師】舛方周一郎(東京外国語大学講師)/宮地隆廣(東京大学教授)
【日時】2023年9月26日 10:00am~11:40am(日本時間)
【場所】オンライン
【参加者】55名
舛方氏
舛方先生からは冒頭に、本書を書くに至った経緯・意図の説明があった。本書は最近10年ほど出版されていないラテンアメリカに関する教科書を作ることを意図したものであり、世界および日本の変化と連動させてラテンアメリカを描くことで、学会以外の人にも広くラテンアメリカを身近に感じてもらうよう努めた。そのため、言語区分、地理的区分に関して、既存の「中南米」とは異なる概念を提示し、「政治」、「国家」、「民主制」というキーワードによって、ラテンアメリカを相対化して世界の中に位置づけようと試みた。
宮地氏
宮地先生の講演は、「ポピュリズムと左傾化」という表題であり、21世紀のラテンアメリカの「ポピュリズム」をどのように評価するか?という問いを立てて、20世紀のポピュリズムと21世紀の左傾化によって生じたポピュリズムの共通点/相違点に関する本書の分析が紹介された。一般に大衆迎合主義と説明されるポピュリズムであるが、「21世紀の(ラテンアメリカの)ポピュリズム」と言ってしまうと、政権間の違いを見落とす可能性がある。その例として、ベネズエラ(チャベス)とブラジル(ルーラ)を取り上げた上で、大統領の言説を分析して数値化したポピュリズム指数を示して両者の違いを明確にされた。
講演後のコメント/質疑では、来月予定されているアルゼンチンの大統領選挙での有力候補はチャベス型か(?)、ラテンアメリカで地域共同体が育たない理由、グローバル・サウスにおけるラテンアメリカのプレゼンス、政治改革とカントリー・リスク、資源ブームの終り(?)、ラテンアメリカの教育、2023~24年にかけての大統領選挙の傾向、グローバル・サウスという言葉について、等に関して興味深い議論があった。
<会員限定:「資料」「録画」>『世界の中のラテンアメリカの政治』ブックトーク 著者・講師:舛方周一郎(東京外国語大学講師)・宮地隆廣(東京大学教授)