【演題】「日本ペルー外交関係樹立150周年記念セミナー」
【講師】ロベルト・セミナリオ駐日ペルー大使
片山 和之 駐ペルー日本大使
田中 康晴 ペルー三菱商事社長
【後援】日本ペルー協会
日本在外企業協会
日秘商工会議所
日本ペルー経済委員会
東京商工会議所
【日時】2023年9月29日10:00~11:30am(日本時間)
【場所】オンライン
【参加者】80名
ロベルト・セミナリオ大使
8月、岸田総理とボルアルテ大統領がテレビ会談を行い、来年ペルーで開催されるAPECに向けて、二国間関係拡大・深化のためのロードマップ策定で合意した。さらに、その後のヘルバシ外相の訪日時に、林外相(当時)・西村経済産業大臣と会談し、ロードマップ策定のためのワーキング・グループを作ることで合意した。
ペルーは法制度の整備やマクロ経済管理を行い、外国投資、特にインフラ部門とクリーンエネルギー部門への投資を期待している。
片山 和之駐ペルー日本大使
片山大使は2020年よりペルー大使を務められ、間もなく帰任される予定。本講演では、資料(文末に会員限定で公開)を用いて、「ペルーは太平洋が繋ぐ隣国であり、日本の重要なパートナー」であることを様々な面から強調され、外交関係樹立150周年の今年は両国の関係発展の好機であると述べられた。
片山大使の在任中に大統領は5人変わり、現ボルアルテ大統領の支持率も低いものの2026年までの任期を全うすると見る意見が増えている。経済は昨年来低迷しているが、本来平均3%の成長が可能。外交はプロフェッショナルによるプラグマティズム外交(ロシアによるウクライナ侵攻を非難するも経済制裁には不参加)。
今年150周年を迎えた日本とペルーの関係では、約20万人の日系人の存在(米国、ブラジルに次ぐ3番目の多さ)が大きく貢献。安部総理のペルー訪問時(2016年)に「戦略的パートナーシップ」構築で合意、来年のAPECに向けて日ペルーの関係拡大・深化に向けたロードマップを策定することで合意している。
最後に150周年の今年は「日本の年」になるが、来年はチャンカイ港の埠頭整備を行っている中国の年になる可能性があり、また短期ビザを免除した韓国との関係も拡大している、と日本の相対的地位低下に対する懸念を述べられた。
田中 康晴 ペルー三菱商事社長
田中社長は、「日本企業から見たペルーのポテンシャル、及びポテンシャルの実現するに当たっての日本・ペルー双方にとっての機会と課題」について話された。
①ペルーに於いては、首都圏リマの一人当たりGDPが約1,500ドルに達していることに加え、人口ボーナス期が続く2040年央まで年率3%前後の成長が見込まれることから、内需を中心とした国内市場が目覚ましい成長・拡大を遂げる可能性がある。既に欧米・チリ企業は国内市場の成長を取り込むべく積極的な事業展開を行っている。又、経済成長に伴いインフラ・ギャップが拡大しており、2030年代後半には約1,000億ドル(講師より修正要請:講演に於いては約1兆ドルとしたが、正しくは約1,000億ドル)に達する見込みにて、日本企業にとってのビジネス機会となり得る。
②ペルーは、銅資源、再生可能エネルギー資源(グリーン水素)、森林資源(カーボンクレジット)、食糧資源、等、世界的な社会課題に対応する上で不可欠な資源を豊富に保有する。これら資源の活用に向けた鍵は、a.外資誘致の促進、b.政治・経済の安定、c.地域コミュニティとの共生、d.教育水準の向上、の4点である。
③ラテンアメリカでは、ブラジル、アルゼンチン、チリが「中所得国の罠」に捕らわれた。ペルーが「中所得国の罠」を回避し、持続的な成長を果たす為には、人口ボーナス期が終了するまでに、➁で挙げた4つのカギも踏まえつつ、産業構造を高付加価値型に転換する必要がある。
コメント JICAペルー事務所長 西村氏
ペルーのODAの特徴:
JICA事業を含めて日系社会の存在が大きく寄与している。
7,000人を超える帰国研修員、大学同士の研究事業等が日・ペルー関係の財産となっている。
民間部門の交流の活発化(9月末に沖縄県の企業がペルーを訪問)。
質疑応答では、在日ペルー人が約5万人いるが、社会保障協定の現状、再生可能エネルギー分野で日本企業が参入できる分野、今後のODA分野、政情不安への対応、等について活発な議論が成された。
<会員限定:「資料」「録画」>「日本ペルー外交関係樹立150周年記念セミナー」:ロベルト・セミナリオ駐日ペルー大使/片山和之駐ペルー日本大使/田中康晴ペルー三菱商事社長