『アマゾン五〇〇年 -植民と開発をめぐる相剋』 丸山 浩明 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『アマゾン五〇〇年 -植民と開発をめぐる相剋』 丸山 浩明 


今、地球環境問題の観点からも注目されているアマゾンについては多くの紹介書が出ているが、本書は西欧人による「発見」以前の原初的風景から説き起こし、列強の植民地争奪の時代、ポルトガルの覇権、近代における米国の関与の始まりと南欧移民の流入、第一次、第二次ゴムブームの到来、世界市場で英国がゴムの独占を図りアマゾンの天然ゴム種を持ち出し東南アジアでプランテーション化した策動、日本移民の入植と米国のアマゾン介入、そして現代のアマゾン開発の諸試みと森林破壊、先住民迫害、開発と環境保護の相剋の歴史を追い、現在の課題に至るまでをコンパクトに網羅した解説書。
アマゾンの森林が大規模に燃やされ先住民のジェノサイドが行われている等のニュースが扇情的に報じられ国際問題化しているが、アマゾン地域の多くはブラジルの掌中にあり領土の主権、開発の必要性の言い分があって常に開発推進派と環境保護派の対立がある。日本人の移住地建設が戦略物資だったゴムの確保も絡んだ米国の思惑の影響を受けたことも言及するなど、アマゾンで様々な勢力が行ってきた歴史をも概観し、つかみ所のない茫洋たるアマゾンを理解し、その未来を考える基礎知識を得る上で時宜を得た書である。

 〔桜井 敏浩〕

(岩波書店(岩波新書)2023年8月 272頁 1,060円+税 ISBN978-4-00-431985-6)
〔『ラテンアメリカ時報』2023年秋号(No.1444)より〕