『ペルーでの愉快な、でも少し壮絶なスポーツ協力 ―国際協力をスポーツで』 綿谷 章 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ペルーでの愉快な、でも少し壮絶なスポーツ協力 ―国際協力をスポーツで』 綿谷 章 


ODA事業を誰もが知ることができるよう刊行されているJICAの「プロジェクトヒストリー」35点の最新版で、ラテンアメリカではパラグアイの大豆生産、中米の算数・数学教科書開発、中米の風土病、ブラジル「セラード」開発、チリのサケ輸出に継ぐ6作目の最新刊。著者は1980年から海外青年協力隊員としてペルーに陸上競技指導のため赴任、引き続き1983年から国際交流基金スポーツ専門家としてペルー体育・スポーツ庁に派遣され、その後も同庁と個人契約し1988年にはペルー陸上競技連盟コーチとしてソウルオリンピックにペルー陸上競技コーチとして参加した。当時は今以上にスポーツに打ち込むにはかなり厳しい環境だったが、著者は地方行脚を重ね、金銭的に余裕がないが素質とやる気がある青少年を発掘し育成、陸上競技の普及に尽力、やがて選手たちが国際大会に出場できるようになり、新記録を出す選手を輩出するに至った。
著者が後任の協力隊員とともに育成に努めた教え子たちは現在ペルー陸上競技連盟、スポーツ界の要職に名を連ねているが、それは「協力隊イズム」を背負っての結果であり、日本ペルー関係の強化に役立っていると思い、それを記録に留めようようと勧められてまとめたのが本書だという。協力隊員の具体的な活動の実態を克明に紹介した、ODA技術協力の一角の実態を窺える有益な資料。

 〔桜井 敏浩〕

(岩波書店(岩波新書)2023年8月 272頁 1,060円+税 ISBN978-4-00-431985-6)
〔『ラテンアメリカ時報』2023年秋号(No.1444)より〕