『バニラの歴史  「食」の図書館』  ローザ・アブレイユ=ランクル | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『バニラの歴史  「食」の図書館』  ローザ・アブレイユ=ランクル


唯一食べられる蘭として、独特の甘い香りで食品、特にアイスクリーム、スイーツなどの香

り付けのみならず、香水のようにも使われてきたバニラは、南米北部・カリブ海地域で古代か

ら栽培され、メキシコ古代文明では2,3000年前から薬、儀礼の際の香料として使われてきた。

1521年のスペイン征服以降欧州にも伝えられ、英国のエリザベス一世女王の食事の香味料とし

て、フランスのルイ14世もその愛妾とともに常にバニラの甘い香りに包まれていたし、米国で

はアイスクリームのフレーバーとして人気を博し、コーラシロップにも混ぜられた。

本書は、このバニラの生態、メソアメリカ・新世界での栽培の歴史と起源に前半を割き、そ

の後世界各地でバニラ入り製品が工夫され、現代社会でも広く使われているバニラの生産と供

給、ポップカルチャーとなっていること、香りの特徴に至るまでを述べ、世界のバニラの生産地、

バニラを使った食品・飲料のレシピ集も付けられている。著者はドミニカ共和国生まれ、多国

籍ホテルの飲食部門で経験を積み、現在はニューヨーク市立工科大学でホスポタリティ・マネ

ージメント学部で助教を務めている。

〔桜井 敏浩〕

(甲斐理恵子訳 原書房 2022年11月 188頁 2,200円+税 ISBN978-4-562-07215-6)