執筆者:硯田一弘(アディルザス代表取締役)
半月前にイグアスの滝が大変な状態であるとお伝えし、先週は落雷で80頭の牛が被害を受けたと書きましたが、今週も雨は大いに降りました。
その結果、エステ市民の憩いの場であるLago de la Repubrica(共和国池、パラグアイ版の井之頭池)が今週の大雨で氾濫、湖畔の道路が通行止めになる事態が発生しました。
上:氾濫した様子 下:普段の様子
この池は先週も水が溢れて通行止めになったばかりですが、度重なる大雨で大勢の人達が被害を受けています。また、イグアスの滝の水量は通常の16倍以上になったそうで、アルゼンチン側は金曜日に開園したものの週末は完全閉鎖、ブラジル側も橋の部分は閉鎖されて、岸部からのみ観覧可能な状態になっているようです。
この大雨はパラグアイだけでなくアルゼンチン・ブラジルにも大きな被害をもたらしているようで、始まったばかりの大豆の作柄にも影響が出ることが懸念されています。
ところで日本では全く知られていませんが、ブラジル・アルゼンチン国境にあるイグアスの滝の近くのパラグアイ国内にも大きな滝があります。
https://www.ultimahora.com/los-saltos-del-monday-dan-un-espectaculo-tras-intensas-lluvias
Mondayの滝というこの滝はMonday川の下流にあり、手軽に行ける大きな滝ですが、これも今回の大雨で大変な水量になっているようです。
大雨の被害は南米南部に限らず、世界中で発生しています。また情報の氾濫も今や大きな問題のひとつ。今回の大雨でも、フェイスブックで無事を知らせるメッセージをクリック一つで周知できるサービスが提供されましたが、これ本当に必要?ってチョット変な気分になりました。
氾濫する情報の整理を如何に行うか? 気候変動と共に考えるべきテーマですね。
出張でブエノスアイレスに来ています。
早朝便で到着して、08:30頃にホテルにチェックインしようとしたものの、当然ながら早すぎてダメ。荷物を預かって貰って、市内を3時間で廻る観光バスに乗って時間つぶしを試みました。
ブエノスアイレスには同じような観光名所を巡回するバスが二社あって、一つは東京でも走っているGrey Line(赤い車体)、もう一つは市営っぽい黄色のバスで、どちらも観光名所で乗り降り自由で、足を棒にして歩き回ることなく二階の高いところから景色が楽しめて良かったです。
今回利用したのは赤いGrey Lineでしたが、こちらの黄色いバスの方が見かける頻度は高く感じました。
https://www.grayline.com/tours/buenos-aires-24-hour-hop-on-hop-off-tour/
アルゼンチンと言えば、ほぼ直線的に通貨Aペソの価値が下がるインフレが有名ですが、公定レートは今年の8月に急落後はほぼA$350/US$前後を維持する水平状態を保っています。
しかし、実態経済を意味する並行レート(Blue Rate)はA$960/US$程度にまで下落していて、実体経済は変わっていないことが良く判ります。
外国人には外国で発行されたクレジットカードの特別レートが適用され、ホテルの支払い等も、Blueレートよりは割高ながら、ペソ払いする際に生じる消費税21%が自動的に免除されるので、安心してカードが使える環境が整えられています。
街を歩いて感じたのは、至る所にあるKioskで、かつては新聞や雑誌が店の殆どを埋め尽くしていたのですが、今は玩具や雑貨に主役の座を奪われています。
↑ 昔のKiosk
↑ 今のKiosk
ちなみに、昨日と同じ店で換金をお願いしたところ、昨日はA$850/US$でしたが、今日はA$860/US$と一日でA$10のペソ安となっていました。
実は今回換金をお願いしたのはホテルの隣のカフェ。正規の両替所よりもレートが良いと喜んだのですが、その後道端で声をかけられた昔ながらの換金屋さんはA$900と言っていたので、やはり道端両替商に替えてもらうのが今も昔も正解のようです。
先週のアルゼンチンに続いて今週はペルーを久々に訪問しました。
前回出向いたのが2019年3月ですから、4年半以上ぶりということで、色々な変化に驚かされました。
先ずリマ国際空港に到着して最初に驚いたのが空港の増設工事が進んでいたことです。
https://www.youtube.com/watch?v=X3mPTwhGO4o
このビデオをご覧いただければ判りますが、21万㎡の広さを持つ新ターミナルの建設が進んでいて、約一年後2025年1月の開業に向けて半分以上の工事が進んでいます。14万㎥のコンクリートが使用され、南米一の規模の空港に進化するようです。
またリマの南300㎞のIcaという街を訪問したのですが、ここは地上絵で有名なNascaの手前にある農業が盛んなエリアで、2012年から2年間リマに住んでいた際にはワイン醸造の様子を観に出向いたことがありました。
その当時は、道路が対面通行で交通量が多いので、Icaに着くまで片道ほぼ一日かかっていたのですが、今回は往復の道路が完全に複線の高速道路になっていて、片道4時間程度で到着できるようになり、日帰りでの現地視察が可能でした。
このIcaでは灌漑が進んだことによって、嘗て葡萄やネギ・トマト等の乾燥に強い作物に限定されていた栽培農作物の種類が大幅に増えて、アスパラガス・柑橘類・綿・アボカド・ザクロ・ブルーベリー・ペカンナッツ等多様な農作物が大規模に植え付けられて、輸出産業としても大きく成長していました。
多くは生鮮作物ですが、現地には大きな農業法人の集荷冷蔵倉庫等も複数建てられていて、整備された高速道路を通じて港湾のあるリマのCallao港まで短時間で輸送されるルートが確立されていたことも驚きの一つでした。
更に、かつて一緒に働いたペルー人の仲間と久々に面談したところ、リマの北約80㎞のところにあるChancaiが中国COSCO社によって大規模に整備され、来年末には南米最大級のコンテナターミナルが完成することも知らされました。
通貨Nuevo Solの価値は2014年当時と比べて大きく変動してはいなかったものの、過去十年平均で年率3%程度の成長があった結果、物価は順調に上昇しており、駐在生活を送っていた当時と比べて日本円換算では随分値段が上がった印象を持ちました。
空港周辺の慢性的渋滞は寧ろ悪化していると感じたものの、高速道路の更なる整備や地下鉄の延伸工事も進んでいる様子でしたので、次の5年間でペルー経済が更なる発展を遂げることを確信できる訪問となりました。
政治的に低迷するアルゼンチンも今週末の大統領選決選投票で今後の方向性はある程度定まりますし、ペルーは安定的に成長を続けることは確定的ですから、引き続き日本から南米への注視も重要となります。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA14BMO0U3A111C2000000/
ブラジル・アルゼンチン・ペルーへの歴訪から帰ってきました。実はブラジルでもアルゼンチンでも訪問直前・直後に豪雨や熱波に襲われていたのですが、幸いにも我々の訪問中は天候に恵まれ、暑さや大雨に見舞われることなく帰ってくることが出来ました。
しかもアルゼンチンに向けてアスンシオンの空港を出発した翌日曜日、この首都での歴史上の最高気温だったということを帰国して知らされ、ブエノスアイレスで一泊した翌日に訪問した内陸都市コルドバでも46℃という史上最高気温に見舞われた直後の訪問となって、本当に天候に恵まれた出張だったと感じました。
しかし、その幸運もつかの間、熱波の後にやってきた大雨とそれに伴う凄い湿気、そしてそれらがもたらした季節の主役、蚊の攻撃に辟易とする日々が始まっています。
今週の注目ニュースは「Criaderos aumentan, no se eliminan y epidemia de dengue vuelve al acecho(蚊の温床が急増、撃退できないのでデング熱の感染リスク高まる)」というものです。 https://www.ultimahora.com/criaderos-aumentan-no-se-eliminan-y-epidemia-de-dengue-vuelve-al-acecho
日本ではインフルエンザが流行している様ですが、パラグアイではデング熱が流行の気配を見せています。
ところで、先週のアルゼンチン大統領選挙では最終的に急進派経済学者のJavier Milei氏が与党現職経済大臣のSergio Massa氏を破って12月10日に新政権を樹立することになりました。このニュースは日本でも大きく報じられたわけですが、この一連のニュースを見ていて気付いた点が一つ。
大統領権限の象徴とされるBaston(杖)が三種類用意されており、どれが12月10日の就任式で採用されるか未定であるというニュース。これらのうち、Pallarols親子による左側二本には、赤い帽子の絵が描かれています。この防止のデザイン、パラグアイ国旗の裏側に描かれているのと同じですが、これはフランス革命の象徴となったフリジア帽という帽子だそうで、来年のパリオリンピックのマスコットにも採用されているそうです。
アニメ・スマーフの中で主人公たちがこの形の帽子を被っていますが、お父さんだけが赤い帽子を被っているところをみると、これが権力の象徴ということなのでしょう。
大量の蚊が発生しても、一振りで撃退できる杖が開発されると良いのですが。
以 上