連載エッセイ299:新井賢一「南米コロンビア・雲と星が近い町 から」その19 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ299:新井賢一「南米コロンビア・雲と星が近い町 から」その19


連載エッセイ 290

南米コロンビア・雲と星が近い町から」その19

回復傾向が顕著な日本人観光客のコロンビア訪問数

執筆者:新井 賢一(Andes Tours Colombia代表 ボゴタ在住)

あっという間に年末を迎えようとしています。昨今はその日のうちにこなさなければならない業務に追われており、コロナ禍に巻き込まれロックダウンにより外出すらままならなかったあの時とは別の理由、自宅での事務処理に追われ外出もままならないという嬉しい理由に変わっています。コロンビアを訪れる日本人観光客の方々のガイドアテンド数もここ数ヶ月飛躍的に増えてきていて、今やコロナ禍前とほぼ変わらない位まで回復してきています。私は以前から団体ツアーの受け入れはしていませんので、こちらの方は未だ殆ど催行に至っていないようですが私にとって影響は全くありません。現在は100%個人・グループ等で来訪される方ばかりです。

他方私自身は全く関与していませんが、あえてスラム街など危険なエリアに立ち寄ったり、避難民の人々に取材するなどで不必要にコロンビアの危険性を煽るような行為も散見されます。しかしながらコロンビアを訪れる日本人観光客の大半はいわゆる観光地を巡り景色や歴史的建築物を見てその土地土地の人々と交流するのが殆どであり、いわゆる闇の部分を知ったり危険な目に遭う事は滅多にありません。

11月も日本から複数の方々をお迎えしました。こちらの御夫妻は当地に業務駐在されている御親族を訪ねて来られ、私がボゴタ市内及び近郊のツアーを企画・ご案内しました。いわゆるご高齢の御夫妻ですが何も問題なく観光され、御帰国後に丁重な御礼のメッセージを頂戴しました。首都ボゴタは高地という事もあり低地よりも疲労度が増しますが、それでも無事ツアーを完遂されました。

観光でコロンビアを訪問される日本人の方々は数日滞在の他、国際線乗り継ぎの為数時間滞在という場合もあります。こちらのご家族様は早朝ボゴタに到着され、夜の便で次の目的地に向かう為の乗り継ぎ目的でした。まだ夜明け前に空港でお迎えし、専用車で向かった先は朝4時位から開場している市内最大級の中央市場内のフラワーマーケットでした。その他場内にあるフルーツマーケットなどもご覧頂きコロンビア特産のフルーツを試食してもらいました。その後に向かったのは市内北部を一望出来る展望スポットです。

更に市内中心部・セントロの歴史地区にもご案内、様々な歴史的建造物などをご覧頂きレストランで昼食、その後民芸品市場でコロンビアのお土産を購入され空港へお届け、無事次便にて次の目的地に向かわれました。小さなお子様連れのご家族様でしたがツアー中危険な目に遭った場面はなく、数時間ながらコロンビアの良さを堪能して頂きました。

こちらの画像はSNS上の友人(と言っても年齢的には先輩)であり、かつて数十年前にお仕事の関係でコロンビアに駐在経験のある方から頂戴したものです。当時の仕事仲間との再会やかつて住んだ家などを訪れる「懐かしさに触れる旅」をアレンジさせて頂きました。当時のコロンビアは言うまでもなく非常に危険な状況下でしたが、現在はガラッと変わってる事を実感されたようです。

これはコロンビア国内最北部・グアヒラ県への御旅行をアレンジし、実際観光された際のものです。グアヒラ半島にはコロンビア最大・最多の数を誇る先住民族ワユー族が多く住んでおり、またフラミンゴの群生地があります。ツアーは海水がそのまま湖になっていて深さは大人の膝上位と浅い所を一本の木から作られたカヌーと手作りの帆を船頭の手漕ぎでゆっくりと進み、遠くからフラミンゴの群れを見る事が出来たようです。

これから年末年始にかけて多くの日本人観光客の方々をお迎えします。タイトル通り日本人観光客の来訪数が激増している事は顕著である事を実感しています。女性だけのグループや一人旅、国内の温泉地を巡る旅やご高齢の方の周遊旅行など目的や年齢構成は様々です。以前この場でコメントした事がありますが、私自身はコロンビア政府や観光機関から援助・支援を受けた事は全くなく、25年以上にわたり個人で細々と観光地としてのコロンビアの良さを国内外に発信しています。コロナ禍に巻き込まれて精神的に絶望的な日々を送った事もありますが、ここへ来て少しずつ報われつつあります。  

以   上