講演会報告:「中南米の再エネセクターの現状と展望」㈱三井物産戦略研究所 国際情報部 北米・中南米室 大森苑美氏/宇野万里穂氏 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告:「中南米の再エネセクターの現状と展望」㈱三井物産戦略研究所 国際情報部 北米・中南米室 大森苑美氏/宇野万里穂氏 


【演題】中南米の再エネセクターの現状と展望
【講師】㈱三井物産戦略研究所 国際情報部 北米・中南米室
 大森 苑美氏 
 宇野 万里穂氏 
【日時】2023年12月8日 10:00~11:30am(日本時間)
【場所】リモート
【参加者】78名

 講演内容は、①地域概要:政治・経済展望、リスクファクター、➁中南米の再エネ市場、➂主要国(ブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア、メキシコ)の現状、④中南米各国におけるグリーン水素・国家戦略、の4点。

 中南米の経済について、IMFは、2028年までの緩やかな成長を見込んでいることを紹介。政治については、メキシコの2024年の大統領選挙の見通し、アルゼンチンの新大統領の政策、ブラジルの第3次ルーラ政権の政策、チリとコロンビアの新興左派政権について、主に環境政策の観点から紹介された。リスクファクターとして挙げられたのは、欧米諸国、特に米国のプレゼンスの低下、を挙げられた。

 中南米は他の地域に比べると再エネ比率が高く、エネルギー転換の「優等生」と言える。国際エネルギー機関(IEA)は11月に、初めて特定地域を分析した“Latin America Energy Outlook”を発表し、中南米における再エネ化率が今後とも上昇するという見通しを立てている。そして、再エネ市場に活発な投資を行っている中国とEUの例が示されると共に、中南米の再エネ分野のポテンシャルと課題が紹介された。

 また、ブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア、メキシコの主要国について、エネルギー政策、プロジェクト事例等の詳しい説明があった。時間の関係からグリーン水素・国家戦略については現状についての簡単な説明となった。

 講演後には、風力発電の将来性と日本企業の参入可能性、日本企業が参入するに当たっての障害、日本企業が消極的な理由(積極的な投資を進めている海外企業は「リスク込みでの投資」を行っているとの説明)、原子力発電におけるロシアの動き、地熱発電について、日本の強みを挙げるとすれば何か、ECLAC、IDBなど地域機関の地域全体における動き、等多くの質問があり、講師から丁寧なお答えがあった。

資料及び講演内容等のお問い合わせは以下の講師連絡先にお願い致します。
㈱三井物産戦略研究所 国際情報部 北米・中南米室
   研究員 大森 苑美  Email:So.Omori@mitsui.com
   研究員 宇野 万里穂 Email:Mar.Uno@mitsui.com