連載パナマ・レポート44:ルベン・ロドリゲス 2023年12月分 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載パナマ・レポート44:ルベン・ロドリゲス 2023年12月分


連載パナマ・レポート44: ルベン・ロドリゲス 2023年10月分

執筆者:Ruben Rodriguez Samudio(早稲田大学法学研究科講師・パナマ共和国弁護士)

I.政治

A.採掘権契約の判決

 11月28日、パナマ最高裁判所の判事全員は、カナダのFirst Quantum子会社である鉱業会社Minera Panamáの採掘権契約に関する法律、(パナマ憲法25の条分)をパナマ政府が批准した国際条約、および様々な法律に違反すると判示した。判決にでは、採掘権契約は憲法上に保障されている生命、健康および環境に関する権利を侵害し、パナマ国民の利益を求めるものではないとされている。また契約締結過程に関し、最高裁判所は政府や国会が前の採掘権契約を違憲と判断した。2017年判決の旨を無視したことによって、権力分立の原則が違反されていると指摘した。特にこのような契約に関する法案の議論における国会の権限や役割は契約の承認か拒否に限られ、今回のように契約内容を変更することは許されないとされた。

 さらに、新たな契約を成立するには、Minera Panamaと直接交渉をするのではなく、国際調達を行う必要があると明示された。また今回、契約の締結に利用された環境影響評価は2011年に作成され、最新情報や状況を反映していないものであるため、新たな環境影響評価の調査をする必要があると指摘されている。そして、この環境影響評価に基づいて行われた電撃可決や署名は国民の適切な情報を得て、市民参加権利を侵害するとされた。

 12月3日の官報記載によって違憲判決は確定し、コルティソ大統領は最高裁判所の判断を受け、採掘停止を命令した。しかし専門家は鉱山の閉鎖は10年以上かかる可能性があると述べている。これに対し、契約の成立を反対した5人の議員以外、最高裁判所の判決についてコメントを発表した議員はいない。

Minera Panama採掘権利が消滅したため、Minera Panamaはパナマ政府に仲裁手続きを開始した。さらに、労働局に7000以上の労働契約の停止を申請したが却下された。

II.経済

A.最低賃金の交渉

 労働者組合と企業の代表は新たな最低賃金について同意至らなかったため、パナマ労働省の決定による決まることとなった。労働法典の定めにより地域や労働内容に応じて最低2年一回に更新しなければならない。労働法典は、労働者と企業の代表が同意できない場合、政府が定めると規定しているが、ほとんどの場合、同意がないため、政府が決定している。労働者側が大手企業の最低賃金30-32%、中小企業の最低賃金20%-25%の引き上げを求めている。これに対して、企業側が、引き上げより、新たな雇用を創出するような民間企業支援が必要だと主張している。

求人情報専門会社のKonzertaが発表した報告書によると、パナマでの平均月収が全体的に減少傾向があり、11月に、パナマにおける平均月収はUS$1,009(前年同期比3.27%減)だと明らかとなった。男性が求める平均月収はUS$1,022、女性の場合US$952であった。また、女性応募者数(53.24%)は男性応募者数(46.76%)を上回る。

B.パナマ運河の干ばつ

 パナマでの干ばつにより、パナマ運河の通航への悪影響は継続している。普段、パナマ運河の通航は日35-38隻とされているが、パナマ運河局によると2023年10月に記録的な干ばつがあったため、通航は日31隻に限られた。また、10月時点の予測では11月に日24隻、12月に日22隻、2024年1月に日20隻、そして、2月に日18隻という計画が立てられた。しかし11月の雨が予測を超えた為、日24隻としたが通航予約制度の制限は続くと発表した。通航制限によってパナマ運河の代わり、スエズ運河を利用する運送会社もあったが、近々のイエメンの反政府勢力フーシ派の船舶攻撃が継続しているため、紅海を回避する隻が増加している。さらに、メキシコ政府は、12月22日にパナマ運河と競争するテワンテペク地峡を通して6時間で300キロ以上走る列車を公開した。