講演会報告:「中南米地域のリチウム開発・政策の動向とその課題」JOGMEC金属企画部調査課 課長代理小口朋恵氏 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告:「中南米地域のリチウム開発・政策の動向とその課題」JOGMEC金属企画部調査課 課長代理小口朋恵氏


【講師】小口朋恵氏 独立行政法人エネルギー金属鉱物資源機構(JOGMEC)
       金属企画部調査課 課長代理
      (初谷和則氏 JOGMECリマ事務所長 講演後の質疑応答に参加)
【日時】2024年1月19日(金)10:00~11:30(日本時間)
【場所】リモート
【参加者】64名

 講師はEV(電気自動車)の普及に伴い脚光を浴びている中南米地域におけるリチウム開発の現状と課題について、詳細な資料(別途協会ホームページに掲載)に基いて分かり易く説明された。現在、世界のリチウム埋蔵量の半分以上が米州地域、中でもチリ、アルゼンチン、ボリビアに賦存し、生産量では米州が約4割を占めている。リチウムイオン電池の正極材として用いられる炭酸リチウムは、南米では塩湖のかん水を濃縮・精製して粉末状にして得られるが、時間を要する上、環境負荷が高い。リチウムの生産量は近年増加傾向を辿ってきたが、2050年に向けてさらに急増するとみられている。しかし、リチウム価格は需要の増減によるボラティリティが高い。

 チリでは、昨年、「国家リチウム戦略」が発表され、国家レベルでの管理(国有化ではない)が提唱された。チリのリチウム生産量は増加しつつあるが、環境、地域住民対策、加工度が低い、等の課題があり、環境に配慮したDLE(直接抽出)技術の導入等が目されている。ボリビアは2021年にウユニ湖等でのリチウム産業化を加速するため、「リチウム直接抽出(DLE)に関する国際公示」を実施、中国をはじめとする8社を選定した。メキシコでは2021年から2023年にかけて、憲法改正(中国企業によるSonora州のリチウムプロジェクト買収)、鉱業法改正(リチウム鉱床の国家管理化、鉱業権の有効期間の短縮化)等が行われた。

 世界のEVバッテリー市場では中国企業が6割以上を占めており、米州における実施中のリチウムプロジェクトには中国の参入が著しい。

 講演後の質疑では次のような多くの質問が出され、講師および初谷氏から丁寧なお答えをいただいた。中国以外の進出事例および支援策、下流産業への投資とはどの辺りまでを言うのか、進出企業は中南米のリスクをどのようにみているか、アルゼンチンのミレイ政権の対中政策、メキシコのリチウム開発、DLE技術は日本にあるか、新たな技術開発における国際連携/国際機関の関与、リチウムのOPEC版の可能性、民間企業がPolitical Riskを取れるか、等々。

<会員限定:資料・録画>
講演会資料「中南米地域のリチウム開発・政策の動向とその課題」JOGMEC金属企画部調査課 課長代理小口朋恵氏