連載パナマ・レポート45:ルベン・ロドリゲス 2024年1月分 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載パナマ・レポート45:ルベン・ロドリゲス 2024年1月分


連載パナマ・レポート45:ルベン・ロドリゲス 2024年1月分

執筆者:Ruben Rodriguez Samudio(早稲田大学法学研究科講師・パナマ共和国弁護士)

1.2024年総選挙

A. 選挙倫理協定

 
 2024年1月15日、5月5日に行われる選挙に向けて選挙倫理協定(Pacto Etico Electoral)が結ばれた。選挙倫理協定は、選挙運動についての倫理的な原則を明記するもので、大統領候補、政党、およびメディアが署名し、選挙裁判所、選挙検察庁、教会連合会が保証人として参加する。倫理協定は、デモクラシー復帰後の初めての選挙に向けて1993年に結ばれ、各選挙の活動が始まる前に改めて署名される。

 大統領候補および政党は、平和、平等、および尊重という原則に基づいて選挙運動を行い、候補の私生活および家族生活を侵害しない、選挙の透明性を確保するため暴力的または誤報に基づく選挙運動を行わないこと等を約束する。

 メディアは選挙運動期間中、すべての大統領候補を平等に取扱い、情報確認、フェイクニュース防止、候補の私生活および家族生活に関する情報を広報しないことを約束する。選挙の透明性を確保するため、選挙裁判所はニュース確認サイトを公開した。そして経済財政省は、政党または無所属候補に製品やサービスを提供する事業者はデジタル領収書を利用しなければならないと発表した。

 パナマ選挙法に基づき、選挙運動は2月3日から5月2日の間に行われる。その後は選挙の日まですべての選挙に関する活動は禁止される。現時点で大統領候補者は、トリホス元大統領およびマルティネリ元大統領を含む10名である。

 マルティネリ元大統領は、2023年7月にパナマ国庫から約4400万ドルを利用し新聞の出版会社EPASAを買収したマネーロンダリング事件で有罪判決が下され、禁固刑128か月、1900万ドルの罰金刑に処せられた。同年10月、刑事事件高等裁判所は有罪判決を支持した。パナマ憲法では、禁固5年以上の有罪判決を受けた者は大統領に当選することは禁止されているため、マルティネリ元大統領は最高裁判所に上告し、判決の無効を求めている。 

2.経済

A. 公債

 2023年のパナマ公債は474億600万ドルまで上がり、史上最大となった。バレーラ政権(2014年-2019年)と比べると、コルティソ政権(2019年-2024年)の元での公債は200億ドル増加し(137%増加) 、パナマ史上最も公債を発行した政権となる。公債の発行を理由とし、米国の格付け会社ムーディーズ、フィッチ・レーティングスとスタンダード&プアーズはパナマの評価を下げている。経済財政省は国際機関に対して、政府の赤字が法律で規定されている3%を超えないように動力していると発表しているが、現時点では2023年度の統計まだ公開されていない。

 2004年以降、パナマ公債の傾向は以下の通りである(赤い年は政権交代年)。

 また、新型コロナウイルスパンデミックの影響はまだ継続している。統計局のデータによると、若年層(15歳―29歳)は失業率の54%を占め、100人のうち、45人が労働、31人が勉強、23人が労働も勉強もしない。(ni estudia ni trabaja、NINI)NINIの内16人が女性、7人が男性である。さらに、若者労働者の給与の平均は月695.17ドルで全国平均の5%を下回っている。

B. デジタル経済

 2023年にパナマでデジタルプラットフォーム上行われた取引は3億3千万件(前年同期比300万件増加)で約1005億ドルであった。パナマの大手銀行のBANCO GENERALは2019年にスマホから支払い、振込を可能とするYAPPYアプリを開発した。また、翌年には民間企業、カード会社、および銀行業界の協力により、パナマで初のスマホデジタル決済サービスが開始された。2016年以降、パナマでのデジタル決済の件数は継続的に増化している。

3.外交

A. 日本ビサ免除

 パナマ・日本外交関係樹立120周年記念をきっかけに、日本政府は2024年4月1日から短期ビザを免状すると発表した。現在の制度では、パナマ人が来日するには、経済的な余裕を証明する書類、保証人、往復のチケットを提出し、ビザを申請しなければならない。一方、パナマ政府は2012年に日本人のビザ免状を開始している。パナマパスポートでビザなしで入国できる国は現在では140ヵ国を超えている。