連載レポート130:桜井悌司「民主主義指数2023版レポートにみるラテンアメリカ」 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載レポート130:桜井悌司「民主主義指数2023版レポートにみるラテンアメリカ」


連載レポート130

民主主義指数2023版レポートにみるラテンアメリカ

執筆者:桜井悌司(ラテンアメリカ協会常務理事)

「はじめに」

英国の調査機関であるエコノミック・インテリジェンス・ユニットは、2024年2月17日に、世界の民主主主義指数【Democracy
Index】2023年版を公表した。この調査は、2006年に開始され、毎年発表されている。世界の167ヶ国を対象に、「選挙過程と多元主義」(Electoral process and pluralism)、「政府の機能」(Functioning of government)、「政治参加」(Political participation)、「政治文化」(Political culture)、「市民の自由度」(Civil liberties)5つの項目の得点を出し、評価するものである。同指数は最低0、最高10の総合ポイントで各国の民主主義の成熟度をランク付けしており、4未満が権威主義的体制(Authoritarian regimes)、4以上6未満が混合政治体制(Hybrid regimes 権威主義的体制と民主主義が混在する制度)、6以上8未満が欠陥のある民主主義(Flawed democracies)、8以上が完全な民主主義(Full democracies)と分類されている。

「2023年版の特徴」

2023年の同調査結果は表1の通りであるが、1位から10位までの国名は、ノルウエー、ニュージーランド、アイスランド、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、スイス、アイルランド、オランダ、台湾と昨年度調査と全く変化がない。台湾はアジアで最高位の10位にランクされており、日本は16位で変わらず、韓国は22位で2ポイントの上昇である。

ラテンアメリカ諸国の中では、ウルグアイが14位(昨年11位)、コスタリカが17位(変わらず)、チリが25位(昨年19位)と高位置を占めている。低位置を占めている国は、ハイチ129位(135位)、キューバ135位(139位)ベネズエラ142位(昨年147位)、ニカラグア143位(変わらず)である。

ちなみに、ロシアは144位(146位)、中国は148位(156位)である。ワースト3は、アフガニスタン(167位)、ミヤンマー(166位)、北朝鮮(165位)である。

同社による調査では、2023年度における調査対象国167ヶ国の上記4体制の分類では、表2のようになっている。それによると、完全な民主主義国は24カ国(前年と変わらず)、欠陥のある民主主義国は50カ国(前年比2国増)、ハイブリッド体制は34ヶ国(2国減)、権威主義的体制は59ヶ国(前年と変わらず)となっている。

表1 2023年版の世界とラテンアメリカ上位ランキング

順位 国名 得点 LA順位 国名
1位 ノルウエー 9.81 1位(14) ウルグアイ
2位 ニュージーランド 9.61 2位(17) コスタリカ
3位 アイスランド 9.45 3位(25) チリ
4位 スエーデン 9.39 4位(43) トリニダードT
5位 フィンランド 9.30 5位(45) ジャマイカ
6位 デンマーク 9.25 6位(48) パナマ
7位 アイルランド 9.19 7位(49) スリナム
8位 スイス 9.14 8位(51) ブラジル
9位 オランダ 9.00 9位(54) アルゼンチン
10位 台湾 8.92 10位(55) コロンビア
11位 ルクセンブルグ 8.81 11位(61) ドミニカ共和国
12位 ドイツ 8.80 12位(67) ガイアナ
13位 カナダ 8.69 13位(74) パラグアイ
14位 オーストラリア 8.66 14位(77) ペルー
14位 ウルグアイ 8.66 15位(85) エクアドル
16位 日本 8.40 16位(90) メキシコ
17位 コスタリカ 8.29 17位(95) ホンジュラス
18位 オーストリア 8.28 18位(96) エルサルバドル
18位 英国 8.28 19位(100) グアテマラ
23位 スペイン 8,07 20位(106) ボリビア
22位 韓国 8.09 21位(129) ハイチ
144位 ロシア 2,22 22位(135) キューバ
148位 中国 2,12 23位(142) ベネズエラ
165位 北朝鮮 1.08 24位(143) ニカラグア

表2 2023年版調査にみる4体制の分類国数

体  制 国 数 比 率 人口比率
完全な民主主義 24ヶ国(24ヶ国) 14.4%(14.4%) 7.8%(8.0%)
欠陥のある民主主義 50ヶ国(48ヶ国) 29.9%(28.7%) 37.6%(37.3%)
ハイブリッド体制 34ヶ国(36ヶ国) 20.4%(21.6%) 15.2%(17.9%)
権威主義的体制 59ヶ国(59ヶ国) 35.3%(35.3%) 39.4%(36.9%)
合 計 167ヶ国(167ヶ国) 100.0%(100.0%) 100.0%(100.0%)

注:( )内は2022年の数字

「2023年におけるラテンアメリカにおける民主主義指数の動向」

次にラテンアメリカにおける民主主義指数の動向についてみよう。表3は、「2023年度民主主義指数のラテンアメリカ諸国の現状」を示している。ここでは、2023年の総得点及び前述の調査対象の5項目の項目別得点を紹介している。

表4は、「2023年調査の体制別分類」を表5は、2018年から2023年までの過去6年の「ラテンアメリカ・カリブ諸国の民主主義指数の順位と得点の推移」を表す。

表4に従って、体制別の分類国をみると、「完全な民主主義国」に分類される国は、ウルグアイとコスタリカの2ヶ国である。次いで「欠陥のある民主主義国」は、チリ、トリニダードT、ジャマイカ、パナマ、スリナム、ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、ドミニカ共和国、ガイアナ、パラグアイの11ヶ国である。チリは、2022年には「完全な民主主義国」に分類されていたが、今回、「欠陥のある民主主義国」に降格した。一方、パラグアイは「ハイブリッド体制国」から「欠陥のある民主主義国」に昇格した。「ハイブリッド体制国」には、ペルー、エクアドル、メキシコ、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラ、ボリビアの7ヶ国が、「権威主義的体制国」は、ハイチ、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアの4ヶ国である。

表4にしたがって、5つの項目別にみると、①の「選挙過程・多元主義」の項目では、ウルグアイからドミニカ共和国までの11か国が9点以上の高得点を獲得している。権威主義的体制下にあるハイチ、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアは0点となっている。この項目のラテンアメリカの平均得点は、7.07で他項目と比較して最も高い。

②の「政府の機能」の平均は、5.04で、6点以上の国は、ウルグアイ、チリ、コスタリカ、トリニダードT、ジャマイカ、パナマ、スリナム。コロンビア、ガイアナの9ヶ国である。

③の「政治への参画」の平均は、6.09で、ウルグアイ、コスタリカ、パナマ、アルゼンチン、ドミニカ共和国、パラグアイ、メキシコ、チリ、トリニダードT、スリナム、ブラジル、コロンビア、ガイアナの13ヶ国が6点以上である。

④の「政治文化」の平均は5項目の中で最も低く、4.01である。6点以上の国は、ウルグアイ、コスタリカ、チリ、ジャマイカ、ハイチの5ヶ国にすぎない。

⑤の「市民の自由度」の平均は、6.54で、6点以上の国は、ウルグアイ、コスタリカ、チリ、ジャマイカ、パナマ、アルゼンチン、スリナム、コロンビア、トリニダードT、ブラジル、ドミニカ共和国、パラグアイ、ガイアナ、ペルーの14ヶ国である。

2023年の順位を2022年と比較した数字は下記表3の順位の上下を見ると理解していただけるが、順位を上げた国は、権威主義体制の国であるハイチ、ベネズエラ、キューバの3ヶ国とドミニカ共和国、パラグアイ、パナマの6ヶ国である。反対にランクを落とした国は、チリ、ボリビア、アルゼンチン、エクアドル、ホンジュラス、ウルグアイ、ジャマイカ、エルサルバドル、トリニダードT、コロンビア、ペルー、グアテマラ、スリナム、メキシコの14ヶ国で、残りの4ヶ国は変化が無かった。

2018年から2023年の過去6年間でみた順位と得点の推移は、表6を見ていただきたい。それによると、順位の上昇した国は、キューバ、コスタリカ、ジャマイカ、ウルグアイの4ヶ国であるが、比較的緩やかな上昇である。順位に変化のなかった国は、トリニダードT、スリナム、ドミニカ共和国の3ヶ国で、残りの17ヶ国はすべてランクを落としている。しかも大幅なランクダウンで、20ポイント以上落としている国は、ハイチ、エルサルバドル、ニカラグア、ボリビアの4ヶ国、10以上下降した国は、メキシコ、ペルー、エクアドル、ガイアナ、グアテマラ、ホンジュラスの6ヶ国となっている。

表3 2023年度民主主義指数のラテンアメリカ諸国の現状

順位 国 名 総得点
14位(-3) ウルグアイ 8.66 10.00 8.93 7.78 6.88 9.71
17位(0) コスタリカ 8.29 9.58 7.50 7.78 6.88 9.71
25位(-6) チリ 7.98 9.58 8.21 6.11 6.88 9.12
43位(-2) トリニダードT 7.16 9.58 7.14 6.11 5.63 7.35
45位(-3) ジャマイカ 7.06 8.75 6.79 5.00 6.25 8.53
48位(+1) パナマ 6.91 9.58 6.07 7.22 3.75 7.94
49位(-1)) スリナム 6.88 9.58 6.07 6.11 5.00 7.65
51位(0) ブラジル 6.68 9.58 5.36 6.11 5.00 7.35
54位(-4) アルゼンチン 6.62 9.17 5.00 7.22 3.75 7.94
55位(-2) コロンビア 6.55 9.17 6.07 6.11 3.75 7.65
61位(+4) ドミニカ共和国 6.44 9.17 5.36 7.22 3.13 7.35
67位(0) ガイアナ 6.26 7.33 6.07 6.11 5.00 6.76
74位(+3) パラグアイ 6.00 8.75 5.36 6.67 1.88 7.35
77位(-2) ペルー 5.81 8.75 5.71 5.00 3.13 6.47
85位(-4) エクアドル 5.41 8.75 5.00 5.56 1.88 5.88
90位(-1) メキシコ 5.14 6.92 4.64 6.67 1.88 5.59
95位(-4) ホンジュラス 4.98 8.75 3.93 4.44 2.50 5.29
96位(-3) エルサルバドル 4.71 6.67 3.21 5.56 3.13 5.00
100位(-2) グアテマラ 4.47 5.67 3.93 5.00 1.88 5.88
106位(-6) ボリビア 4.20 4.33 4.29 5.56 1.25 5.59
129位(+6) ハイチ 2.81 0.00 0.00 2.78 6.25 5.00
135位(+4) キューバ 2.65 0.00 3.21 3.33 3.75 2.94
142位(+5) ベネズエラ 2.31 0.00 1.07 5.00 3.13 2.35
143位(0) ニカラグア 2.26 0.00 2.14 2.78 3.75 2.65
  平均 5.68 7.07 5.04 5.72 4.01 6.54

(注)①Electoral Process & Pluralism(選挙過程・多元主義)、③Functioning of government(政府の機能)、③Political
participation(政治への参画)④Political culture(政治文化)、⑤Civil liberties(市民の自由度)  順位の項目の( )内は, 2022年との比較でランクの上下を表す。

表4 2023年調査の体制別分類

体  制 総得点 国名 国数
完全な民主主義 8点以上 ウルグアイ、コスタリカ 2ヶ国
欠陥のある民主主義 6点以上8点未満 チリ、トリニダードT、ジャマイカ、パナマ、スリナム、ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、ドミニカ共和国、ガイアナ、パラグアイ 11ヶ国
ハイブリッド体制 4点以上6点未満 ペルー、エクアドル、メキシコ、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラ、ボリビア 7ヶ国
権威主義的体制 4点未満 ハイチ、キューバ、ベネズエラ、ニカラグア 4ヶ国

表5 ラテンアメリカ・カリブ諸国の民主主義指数の順位と得点の推移
〈2018年~2023年〉

国名 2023 2022 2021 2020 2019 2018
ウルグアイ 14

8.66

11

8.91

13

8.85

14

8.61

15

8.38

15

8.38

コスタリカ 17位

8.29

17

8.29

20

8.07

18

8.16

19

8.13

20

8.07

チリ 25位

7.98

19

8.22

25

7.92

20

8.28

21

8.08

23

7.97

トリニダードT 43位

7.16

41

7.16

41

7.16

41

7.16

43

7.16

43

7.16

ジャマイカ 45位

7.06

42

7.13

42

7.13

48

7.13

50

6.96

47

7.02

パナマ 48位

6.91

49

6.91

46

6.86

44

7.18

46

7.05

45

7.05

スリナム 49位

6.88

48

6.95

49

6.82

47

6.82

49

6.98

49

6.98

ブラジル 51位

6.68

51

6.78

47

6.86

50

6.92

52

6.86

50

6.97

アルゼンチン 54位

6.62

50

6.85

50

6.81

46

6.95

48

7.02

47

7.02

コロンビア 55位

6.55

53

6.72

59

6.48

43

7.04

45

7.13

51

6.96

ドミニカ共和国 61位

6.44

65

6.39

60

6.45

59

6.32

60

6.54

61

6.54

ガイアナ 67位

6.26

67

6.34

65

6.92

75

6.67

71

5.00

54

7.00

パラグアイ 74位

5.99

77

5.89

77

5.86

67

6.18

70

6.24

70

6.24

ペルー 77位

5.81

75

5.92

71

6.09

56

6.53

58

6.60

59

6.60

エクアドル 85位

5,41

81

5.69

81

5.71

64

6.13

67

6.33

68

6.27

メキシコ 90位

5.14

89

5.25

86

5.57

70

6.07

73

6.09

71

6.19

ホンジュラス 95位

4.98

91

5.15

92

5.10

87

5.36

89

5.42

85

5.63

エルサルバドル 96位

4.71

93

5.06

79

5.72

69

5.90

71

6.15

71

5.96

グアテマラ 100位

4.47

98

4.68

99

4.62

90

4.97

93

5.26

87

5.60

ボリビア 106位

4.20

100

4.51

98

4.65

101

5.08

104

4.84

83

5.70

ハイチ 129位

2.81

135

2.81

119

3.48

102

4.22

105

4.57

102

4.91

キューバ 135位

2.65

139

2.65

142

2.59

138

2.84

143

2.84

142

3.00

ベネズエラ 142位

2.31

147

2.23

151

2.11

135

2.76

140

2.88

134

3.16

ニカラグア 143位

2.26

143

2.50

140

2.69

119

3.60

122

3.55

122

3.64

得点平均 5.68 5.79 5.83 6.09 6.13 6.24
スペイン 23位

8.07

22

8.07

29

7.94

16

8.12

16

8.18

19

8.06

日本 16位

8.40

16

8.33

18

8.15

22

8.13

24

7.99

22

7.99

調査対象国 167 167 167 167 167 167

表6 過去6年間の順位と得点の推移

上昇した国 下降した国 変化のない国
キューバ(+7/-0.35)コスタリカ(+3/+0.22)ジャマイカ(+2/+0.04)ウルグアイ(+1/+0.28) ハイチ(-27/-2.1) エルサルバドル(-25/-1.25) ボリビア(-23/-1.5) ニカラグア(-21/-1.38) メキシコ(-19/-1.05)
ペルー(-18/-0.79) エクアドル(-17/-0.86) ガイアナ(-13/-0.74) グアテマラ(-13/-1.13) ホンジュラス(-10/-0.65) ベネズエラ(-8//-0.85)
アルゼンチン(-7/-0.4) コロンビア(-4/-0.41)パラグアイ(-4/-0.25) パナマ(-3/-0.14) チリ(-2/+0.01) ブラジル(-1/-0.29)
トリニダードT(0/0)、スリナム(0/-0.1)、ドミニカ共和国(0/0.52)
4ヶ国 17ヶ国 3ヶ国

「レポートのラテンアメリカ・カリブ海諸国の地域別コメントは」

本レポートでは、地域別のコメントを紹介しているので、ラテンアメリカ・カリブ諸国地域の主要なコメントを少し長いが一部引用・紹介する。

*ラテンアメリカとカリブ海諸国の民主主義指数のスコアは、2023年 に8年連続で低下し、同地域の平均スコアは2022年の5.79から
5.68に低下した。低下したとはいえ、この地域は北米、西ヨーロッパに次いで世界で3番目に民主的な地域であることに変わりはない。ラテンアメリカ・カリブ海地域は、選挙プロセスと多元主義、政治参加、市民的自由については世界で最も強固なスコアを獲得しているが、政治文化については世界最悪のスコアを獲得しており、政府の機能については低いスコアとなっている

*この地域には、ウルグアイやコスタリカのような世界最強の民主主義国家がある一方で、キューバ、ニカラグア、ベネズエラのような長年の権威主義政権や、崩壊状態にあるハイチのような国もある。

*2023年、この地域の2カ国が分類を変更した:
チリ(「完全な民主主義」から「欠陥のある民主主義」へとパラグアイ(「ハイブリッド体制」から「欠陥のある民主主義」へ)である。チリの格下げは、最新の調査データによれば、専門家による統治を好む傾向が強まった結果である。最もスコアを下げたのはエルサルバドル(-0.35)で、ナイブ・ブケレ大統領の権威主義的な統治と違憲の再選を目指しているため、スコアが悪化した。パラグアイは、2023年の総選挙後に議会における女性代表が増加したため、スコアが改善した。

*安全保障上の課題がこの地域の民主主義に重くのしかかる
この地域における民主主義の質に大きなばらつきがあるのは、権威主義的な政治プロジェクトが定着する余地を与えてきた安全保障上の課題の影響を反映している面もある。中米では、(主に麻薬密売に関連した)高水準の犯罪と、それに対応するための国家による抑圧が、近年この地域のほとんどの国で民主主義の質を一貫して低下させている。エルサルバドルのブケレ氏による権威主義的な支配は、その一例である。

*この地域は、近年世界の他の地域で民主主義の重荷となっている国家間戦争を今のところ回避している。しかし、2023年には、ベネズエラの権威主義政権であるニコラス・マドゥロ大統領が、隣国ガイアナの支配下にあるエスキボ領土を侵略すると脅し、戦争の可能性が迫ってきた。本稿執筆時点では、緊張は高まったままだが、戦争に発展する可能性は低そうだ。

*緊張が高まる選挙民主主義 2023年にラテンアメリカとカリブ海諸国で実施された大統領選挙のほとんどは、政治的暴力、クーデター未遂、超極端化のいずれかに見舞われた。エクアドルの選挙は、高度の政治的暴力によって特徴づけられた。

*アルゼンチンも二極化には慣れているが、2023年の大統領選挙では新たなレベルに達した。右派のリバタリアンであるハビエル・ミレイと、政権与党である左派のペロニスト・のセルヒオ・マッサ候補とその支持者たちは、もし彼らが負ければアルゼンチンの民主主義は危機に瀕するとして、選挙の争点を熱狂的なまでに高めた。これは、2022年に行われたブラジルの大統領選挙を反映している。ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領を支援した政治マーケティングの専門家も、マッサ氏に選挙戦略をアドバイスした。アルゼンチンの選挙における外国の影響力はさらに拡大し、外国の指導者たちが意見を述べた。ルーラはマッサ氏の名前を出さなかったが、マッサ氏の立候補を明確に支持した。スペインのペドロ・サンチェス首相とコロンビアのグスタボ・ペトロ大統領はマッサ氏を明確に支持した。メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、ミレイ氏を「ファシスト」とまで呼んだ。こうした非難にもかかわらず、ミレイ氏は第2ラウンドの決選投票で地滑り的な勝利を収め、3桁のインフレがこのアウトサイダーを政権に押し上げた。ミレイ氏は選挙で明確な信任を得たが、彼の自由市場改革のアジェンダは、分断された議会で可決されるのは難しいだろうし、司法の課題にも直面するだろう。

*さらに、2024年には痛みを伴う緊縮財政が社会不安を引き起こす可能性がある。ラテンアメリカとカリブ海諸国のサブリージョンの中で、中米(メキシコを除く)は2023年に民主主義指数のスコアが最も急落した。中米は最も民主的でないサブリージョンでもあり、平均スコアは5.27である(地域平均5.68に対して)。中米は、ラテンアメリカとカリブ海地域で最も権威主義的な国(ニカラグア)と、この地域で2番目に民主主義が強い国(コスタリカ)を抱える。今年の中米の総合スコアの下落は、エルサルバドル、ニカラグア、グアテマラ、ホンジュラスの下落による。同地域で民主主義の後退を最も象徴するケースはエルサルバドルで、2023年には指数スコアが4年連続で低下した。

以  上