講演会報告:峰尾 洋一氏 丸紅経済研究所「最近のベネズエラ政策に透けるバイデン政権の中南米への見方」2024年3月15日(金)10:00~12:00 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告:峰尾 洋一氏 丸紅経済研究所「最近のベネズエラ政策に透けるバイデン政権の中南米への見方」2024年3月15日(金)10:00~12:00


【演 題】最近のベネズエラ政策に透けるバイデン政権の中南米への見方
【講 師】峰尾 洋一氏 丸紅経済研究所
【日 時】2024年3月15日(金)10:00~11:20
【場 所】リモート
【参加者】39名

 峰尾氏は米国(NYとワシントン)で計17年勤務されていたご経験があり、バイデン政権の中南米に対する姿勢について、様々な観点から語られた。

なお、当日用いられた資料は本文の末尾の「会員限定」として公開される。

・1823年のモンロー宣言から200年経った今でも、モンロー主義は様々な解釈の下に用いられる使い勝手のよい「Doctrine」となっている。

・モンロー主義の解釈は政権によって変わるが、トランプ政権とバイデン政権の対西半球政策には共通するとこところがある。すなわち、国内重視と選挙関連事項を最優先する姿勢。

・Chat GPTによるバイデン政権評価(2023年5月)によると、オバマ政権と比べてバイデン政権は米国第一主義で、対中国では宥和より競合姿勢。移民政策では、国内重視の観点からトランプに近い政策に転換。

・アンケート調査(IPSOS、2024年1月)によると、一般の有権者の関心事は、景気、犯罪対策、銃規制、中絶規制等であり、外交や通商には関心が薄い。

・バイデン大統領は副大統領時代には16回も中南米を訪問するなど「外交専門」だったが、大統領になってからは外交を大きな問題としなくなった。

・非正規移民問題は、バイデン政権の最大の弱点であり、大統領選の大きな論点になる。

・ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ベネズエラからの原油輸入が増加した。米国では、ガソリン価格が1ガロンあたり4ドルを超えると暴動が起こる、と言われる。

・ベネズエラとの関係では、囚人交換をきっかけに原油取引再開や制裁緩和が進展したが、今年のベネズエラの大統領選挙の参加資格を巡る問題で、関係は再び冷却化。

・中南米における中国の影響力拡大に対して、米国の存在感は低下している。

・APEP(経済繁栄のための米州パートナーシップ)には市場開放という意図はない。

・米国の人口の16%を占めるラティーノの民主党離れが進展している。

 講演後の質疑では、米国のエネルギー政策とベネズエラからの原油輸入、米国の日本に対する姿勢、移民政策とメキシコとの関係、トランプが大統領になった場合に日本の採るべき態度は、中国の中南米における一帯一路について米国内ではどのような議論があるか、中南米の鉱物・食糧資源を巡る日本の立場、等の質問が出され、丁寧にお答えいただいた。

 <会員限定:資料・録画>
講演会資料「最近のベネズエラ政策に透けるバイデン政権の中南米への見方」