ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート ILAC2024-2 2024 年 4月「ラテンアメリカ・カリブ地域における脱炭素化:その進捗状況、資金ニーズと政策手段」桑山幹夫 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート ILAC2024-2 2024 年 4月「ラテンアメリカ・カリブ地域における脱炭素化:その進捗状況、資金ニーズと政策手段」桑山幹夫


【要旨】本レポートは、国際エネルギー機関(IEA)、経済協力開発機構(OECD)、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)などの国際機関が最近発表した報告書を中心に、ラテンアメリカ・カリブ(LAC)地域の脱炭素化の進捗状況や今後の見通しと「排出量ネット・ゼロ」に必要とされる政策転換について論考する。

本レポート第II章では、LACにおける「温室効果ガス(GHG)」排出量の推移を国別、経済部門別でみたうえで、総エネルギー需要・供給面で上昇する再生エネルギー比率の特異性を指摘する。特に、電気部門における水力発電の重要性および近年上昇傾向にある太陽光、風力、バイオマスなどの新しい再生可能エネルギー源についても検討する。

第III章では、「国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution: NDC)」の観点から、LAC 諸国の「排出量ネット・ゼロ」の進捗状況について説明し、LAC 諸国の排出量削減の見通しを ① 現時点における政策設定を反映したシナリオ(STEPS)、② NDC)で定められた気候目標シナリオ(APS)」③「2050年までのネット・ゼロ・エミッション(NZE)シナリオ」、の3シナリオに沿って考察し、現時点での進捗状況、達成に必要な投資資金とその調達手段、近年における再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス、グリーン水素)部門向け海外直接投資(FDI)、近年域内で拡大する GSSS 債(グリーン債・ソーシャル債・サステナビリティ債・サステナビリティ連動債)の発行状況、に焦点をあてて分析したのち、目標達成に重要と考えられる国際機関からの政策提言をいくつか提示する。

キーワード: ラテンアメリカ 再生可能エネルギー 脱炭素化 気候変動対

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