著者は米国の戯曲家・民俗学者でハーレム・ルネサンスの黒人作家。米国南部の黒人民話調査を経て1936~37年にカリブ海域へフィールドワークの旅の成果。本書は1999年に新宿書房から出た訳書を加筆修正したもの。ジャマイカ、ハイチの歴史や政治批評、調査体験のみならず人々の生活、音楽とダンスの始原の神話、口承。特にハイチのヴードゥー教について述べている。
ジャマイカとハイチの政治と人々、ハイチで以前政治的弾圧の対象となっていたアフリカ系の伝統、音楽やダンス、憑依、特にヴードゥーなど、ハイチの美しさ、アフリカの神々が住み続けている聖なる地域を生き生きと描いている。
〔桜井 敏浩〕
(常田景子訳 筑摩書房(ちくま学芸文庫) 2021年7月 464頁 1,600円+税 isbn978-4-480-51058-7 )