【季刊誌サンプル】バルバドスの挑戦 ―観光産業の未来 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

【季刊誌サンプル】バルバドスの挑戦 ―観光産業の未来


【季刊誌サンプル】バルバドスの挑戦 ―観光産業の未来

三浦 慕(在バルバドス大使館 一等書記官)

本記事は、『ラテンアメリカ時報』2024年春号(No.1446)に掲載されている、特集記事のサンプルとなります。全容は当協会の会員となって頂くか、ご興味のある季刊誌を別途ご購入(1,250円+送料)頂くことで、ご高覧頂けます。

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バルバドスの挑戦 ―観光産業の未来 三浦 慕(在バルバドス大使館一等書記官)

バルバドスの観光産業
2022年に30議席を獲得して再選されたミア・モトリー首相は、再選後も一貫してバルバドス経済再建を主眼とした政策を展開しており、2018年の選挙勝利以来の継続する経済再建重視の姿勢は、債務率の改善からも見て取れる(図1)。しかし、順調だと思われた経済回復は、2020年の新型コロナウイルスの影響により、GDP前年比マイナス13.73%まで悪化した。その後、2021年から再び回復の兆しを見せ、2023年末にはほぼ2019年の水準まで回復を達成している。

2020年以降の経済回復は、バルバドスの主要産業である観光産業の回復と軌を一にしており、経済における観光産業の寄与率(図2)からも、観光が経済回復に与える影響が大きいことは容易に理解できる。モトリー首相は、国の経済回復を促進するため、積極的に外部からの資金調達を進めているが、観光産業は、これからのバルバドス経済発展の鍵を握る分野と言えよう。

With-Postコロナ時代のバルバドス
バルバドスの観光産業は、感染防止対策が功を奏したことにより、国内での安全が確保された後、2020年7月に外国人観光客の入国が再開された。しかし、この再開にも関わらず、同年8月の到着数は前年比で90%も減少している。コロナ禍による観光客数の激減は、世界中の観光産業依存国で経験され、それらの国々は、他の国よりも負の影響からの脱却に長期間を要する可能性が高いことが国際通貨基金(IMF)により指摘されている。

この観光客数の大幅減少への対応策はあらゆる国々で模索されたが、財政余地が少ないために可能な対応策は限られた。バルバドスが見つけた解決策は、カリブ海の景色を満喫しながら最長1年間のリモート勤務を可能とする制度「Welcome Stampプログラム」の導入である。

このプログラムは、年収5万米ドル以上の応募者を対象とした長期ビザを提供し、外国人に対して最長12か月にわたりバルバドスでのリモートワークの機会を提供している。プログラム開始から2023年12月現在まで、8359件のWelcome Stampへの申請があり、うち35%は家族単位での申請で、主な申請者国籍の上位が、米国(1245件)、英国(1131件)、カナダであるのはこれまでの観光客の送り出し国として当然だと思われるが、その次にナイジェ