『メソアメリカ文明ガイドブック(シリーズ「古代文明を学ぶ」)』 市川 彰 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『メソアメリカ文明ガイドブック(シリーズ「古代文明を学ぶ」)』  市川 彰 


世界各地の古代文明の魅力と最新研究成果を第一線で活躍する研究者がビジュアルに解説するシリーズの第一冊目。中南米では追って『アンデス文明ガイドブック』(松本雄一)の刊行を予定している。著者は青年海外協力隊員としてエルサルバドルで遺跡調査に参画し、以来メソアメリカ考古学研究・現地調査を続け現在は金沢大学准教授。
メソアメリカの遺跡・時代区分、自然環境、旧大陸からの人類移動、トウモロコシ等の作物と土器の製作と定住化から始まり、神殿等公共建造物群と都市の建設、石彫に刻まれた世界観、文字体系と暦、国際都市としての繁栄、人々の移動を都市間の攻防・戦争、そしてアステカ王国の誕生、その神々と儀礼、地域間の交流・交易、各地の王や貴族たちの文化、人々の生活(著者が関わってきたエルサルバドルの火山噴火で埋没した村落の発掘から多くの日常生活の実態が判った)、風習、慣習などを簡潔に解説し、最後に現在進行形の生きている文化、進展しているメソアメリカ考古学研究と活躍する日本人研究者、一度は訪ねてみたいメキシコ(3か所)、ブラジル、エルサルバドル、ホンジュラスの博物館と現地の大学を紹介している。コンパクトかつ簡潔ながら、メソアメリカを理解するに適切な解説書。

〔桜井 敏浩〕

(新泉社 2023年7月 95頁 1,800円+税 ISBN978-4-7877-2311-6 )
〔『ラテンアメリカ時報』2024年春号(No.1446)より〕