『環境カウンセラーのガラパゴス見聞録』 倉田 智子 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『環境カウンセラーのガラパゴス見聞録』  倉田 智子 


著者は環境省が1996年に設けられた制度で環境保全活動に関する助言する環境カウンセラーで監修者(横浜国立大学)がチャールズ・ダーウィン研究所の客員研究員として2010年9月から1年間サンタクルス島に滞在し、多くの島々を巡って固有種と近縁種のDNA塩基配列から固有種の起源を探った際に研究助手として同行した。

ガラパゴス諸島の基礎知識と著者達の訪問時の見聞、所感、経団連自然保護基金、国際協力機構(JICA)、日本ガラパゴスの会(JAGA)の支援、ガラパゴスの植物と動物について多くのページを多くの挿入カラー写真とともに解説しており、科学的価値と保全の意味、製塩等の生業やインフラ事情、太平洋戦争中に米軍がパナマ運河防衛基地の一つとして設けた飛行場等の戦争の痕跡、ナチュラリストガイド、ピンタ島でのガラパゴスゾウガメの絶滅と植生、ヘビとウミイグアナについての私的考察、1959年12月~60年1月の17日間立ち寄った東京水産大学の海鷹丸の練習航海時の立ち寄り記録に至るまで述べ、隔絶した海洋島で環境に適応した貴重な鳥類はじめ動植物固有種の生物進化の実験室であるガラパゴスの保全を訴える、極めて詳細な紹介書。

〔桜井 敏浩〕

(倉田 薫子監修 三省堂書店/創英社 2022年6月 216頁 2,200円+税 ISBN978-4-87923-150-5 )