連載エッセイ370:ピーター藤尾「チリの風」その27 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ370:ピーター藤尾「チリの風」その27


連載エッセイ370

「チリの風」その27

執筆者:ピーター藤尾(在チリ、サンティアゴ)

「2024年5月27日~6月2日」
「政治」
1)ボリッチ動向

今週の話題は3回目の年次教書の発表だ。1回目は夢の公約の連発。2回目は失敗・反省のコメント。さて今回は?土曜日の朝11時に議会で演説が始まったが、その日テレビは朝9時から特別番組で彼や周りの動きを報道した。その中継を見たが彼は落ち着いて話を進め、議場の拍手を受けていた。例えば、「チリは民主主義が定着し、約束を守ることが知られているから外国からの投資が年々増加しているのは素晴らしい事実だ」「先住民の権利を守るのは当然だが、マプチェの犯罪グループを警察・軍隊の協力を得て抑え、この2年間犯罪数が減少している」彼は2時間45分の講演を堂々と終えた。私は講演で45分話すと疲れてヨレヨレになるが、さすがに若い彼は3時間も話続けることができるわけだ。

年金について、「もらっている年金だけでは生活できない方が多くおられます。その方々がお亡くなりになる前にその改善をしようではありませんか?」とコメントすると会場の大拍手を受けたが、もっともそれをどう実施するのか言わなければほとんど意味はないだろう。

市民の安全は最重要テーマだが、それに関してはそれほど新しい対応策はコメントされなかった。経済の発展も中心テーマだが、この1年間、政府は延々と努力して成果が出ていると発表した。新聞の社説にこの2つの主要テーマで新しい提案はされなかったと冷たい評価が書かれた。問題になったのは妊娠中絶関連で、ボリッチはその自由化を進めたいとすると最右翼の共和党議員はそれを拒絶して退席した。もとろん与党内でも新左翼と共産党は賛成でキリスト教民主党など中道左翼は反対となっている。

さて大統領府の案内では欧州外遊のボリッチは6月9日に先ずドイツに向けて出発とか。彼はパレスチナを支持し、イスラエル糾弾を繰り返しているが、従来のチリはアメリカ・イスラエル側についていたので大きな変化と言われる。なんでもイスラエルとチリの軍隊は兵器などの交流などもあったとか。今回の教書の中でもイスラエル批判を取り上げていた。

世論調査

ボリッチを支持するはまた下がって29%だけ。これからもっと下がるだろう。しかし注目されるのは次の大統領選挙の候補者とされる左右2名づつの4名が国民に大きく嫌われていること。与党側は現内務大臣のトア、元大統領のバチェレット、右翼側は前候補のカストとプロビデンシア区長のマテイだが、世論はその4名ではなく他の候補者に投票したいとか???来週の日曜日(9日)に地方選挙の予備投票があるが、市(区)によっては選挙のないところもあり、自主投票になっている。

南極問題

大臣と一部議員が南極に飛んで現地視察。チリ政府としては現在チリ領土と主張しているところに現在よりさらに大きな基地(事務所・住居など)を建てたいとか。予算は140億ドルとか。奨学金CAEの取り消しなど無理だろう。新聞の投書にCAEの件より年長者の家屋税支払いを助けてほしいとあった。ボリッチの演説ではこの奨学金問題をどう進めるかについては詳しい話はされず、新しいシステムを考えたいとされた、逃げ腰だ。

政府分裂

首都圏のレコレタ区長ハズエが汚職の罪で裁判になっている。共産党のエースの彼を党首は全力で支持するとコメントしている。ボリッチを支えるのは新左翼と共産党だが、新左翼はすでに住居補助金問題で裁判になっており、今回は共産党員が裁判になったことからメンツ丸つぶれ。

トア内務大臣は与党内でもう分裂感が拡大しているとした。無理もない。その内務大臣はバケダーノ将軍の銅像をオリジナルのイタリア広場に戻すのか聞かれたところ、それを怖がっていると答えました。それは4年半前の社会騒乱の時、その銅像は反政府デモで壊されそうになったことから違う場所に移された。それをもう一度、オリジナルの場所に戻してはどうかと質問が出たわけだ。ボリッチの仲間の暴力デモですね。

「経済」
1)銅価格と為替

銅価格は先週よりかなり下がって1ポンド4.53ドル。そのためか為替もペソ安でなんと1ドル918ペソ。大きく落ち込みました。それからリチウム関連の件でコデルコ銅公社とソキミチSQMがリチウム関連の合意事項にサインしました。落ち着いて共同事業が進みます。

「一般」
1)犯罪

毎日のニュースは犯罪関係が中心です。見ていてもう飽きたと言う気もします。今日のニュースで非番の警官が強盗犯を見て逮捕しようと発砲した事件が報道されました。教書で犯罪抑制の話は出ましたが、毎年・毎月良くなっているとは思えません。個人犯罪と犯罪グループの二つの問題がありますが、しっかり手を打ってほしいもの。

2)インフルエンザ

病院の空きベッド数がほとんどなくなる)(使用率94%)と言うかなり厳しい状況ですが、国が呼び掛ける予防注射は目標の85%にはまだ遠い72%が接種したとか。死亡者数は5月までで昨年は171人、今年は201人と増加傾向です。

それとは全く関係ありませんが、自分の子供が難病にかかり、その薬の価格が莫大なもので通常の家族では支払えない、何とか政府の援助は得られないかと一人の母親が南部のチロエ島からモネダ宮殿を目指し歩き始めました。そして1000キロを歩きモネダ宮殿に到着。ボリッチ大統領は彼女に挨拶しました。その歩きの途中、市民が彼女を応援し、隣町まで同行するとか寄金を渡すとかして励ました。町長・村長も手を貸していた。同じ病気の子供が国内に数百人いるとかだが、意地を出してそれを実行したその女性は素晴らしい。子供さんの病気が良くなるのを祈ります。

3)アタカマ天文台

東大がチリ北部の5640メートルの高地に世界1と言われるアタカマ天文台を完成させた。素晴らしい結果が発表されるのを期待したい。          以  上
「6月3日~6月9日」
「政治」
1)ボリッチ動向

先週の議会で発表した教書が与党側の議員の混乱を起こしているとか。彼の言うとおりにやれない・やりたくないと言うことでしょうが、ボリッチの考えが一般の左翼とかなり差があるのですね。一番の話題は妊娠中絶を認めると言う方針です。社会党の党首が「中絶問題は国民の最大関心事ではないが、ボリッチはそれを年末の選挙の票集めに使おうとしているのでは」と冷たい反応です。

週の初めに北の国境の町アリカに行って住民保護の施設を見学し、地区の人と話し合いました。

外交ではベネスエラ と中国問題があります。先日、ベネスエラ反政府活動をしているオヘダがチリ国内で殺されましたが、その犯人の後ろにベネスエラ政府がいるのではとされ問題になっています。それをベネスエラ政府に問い合わせたところ、先方の検察は一つの事件を利用してベネスエラを批判するとは何事かと逆にチリを糾弾しました。ボリッチは事件の更に詳しい状況を知らせ問い合わせるとか。もっともそこと外交関係を切断するとまでは行かないらしい。もう一つは中国からの鉄鋼製品に特別関税をかけた件で、中国政府は我が国は中国製品の輸出に特別の支援をしているわけではなく、正当な価格で販売している。それに特別関税をかけると言うことはチリの市民に悪い影響を与えると言うことだと批判しました。つまり黙って中国製品を使えとするのでしょうね。

それから市民調査で彼を支持するは31%。しないは61%でした。

今日、欧州に向けて飛び立ちました。外に出るとホッとするのでしょうね。

2)予備選挙

今日の日曜日に、10月に実施される地方選挙の前段の予備選挙がありました。全国60か所で行われましたが、テレビのニュースを見ているとほとんど投票する人はいませんでした。政府がこの選挙を成功させようとする応援をしなかったと批判していますが、野党でなく与党というのがおかしいけれど、先週のテレビのニュースでこの選挙のことはほとんど報道されませんでした。つまり政府だけでなく誰も興味がなかった無意味な選挙となりますね。6時に投票が終わり、開票されますが、普通なら全テレビ局が報道するのに今日はただの1局でした。予選で勝った候補者の所属する党ですが、やっぱり新左翼も共産党もいました。根強いファンが入るわけですね。
3)ハヅエ区長収監

サンティアゴのレコレタ区の区長ハヅエが汚職の疑いで裁判になっていますが、裁判所は有罪になる前に彼の収監を決めました。共産党は怒り狂って政府を批判しています。この裁判は政治活動として共産党をいじめるだけだ。政府はそれを認めるなとしました。ボリッチは裁判に関して政府がコメントすることはできないと知らん顔です。共産党と同じくボリッチを支える新左翼の中心グループRD党が北部のアントファガスタで「民主主義は生きている」というグループを作り貧困層に政府援助で住宅を供給するとする運動を始めましたが、政府から出た寄金を自分たちのものにしていたと訴えられました。今からちょうど1年前の事です。ボリッチ政権の基礎はボロボロですね。

「経済」
1)銅価格と為替 

銅価格は1ポンド4.46ドルと少し前に5ドルを超えていたのに下がってきています。為替は1ドル910ペソと少しペソ安です。ところでロイヤリティ税が前年対比14%減少しました。この理由は主に銅の価格の低下とか。これとは関係ありませんが、中銀発表の経済成長イマセック指数率4月は対前年3.5%アップで順調です。

2)物価上昇率IPC

5月の指数は0.4%、過去12か月で4%でした。落ち着いてきていますね。ただ電気代がかなり上がる可能性があるらしく、その時はIPCに少し影響しそうとか。

OECD加盟国の正規雇用従業員の中で社員になってから1年以内の人の割合がどれくらいあるか調べたところ、チリは31%でトルコ・コロンビアに次いで3番目の高い数字でした。

コロコロ変わるわけですね。

「一般」
1)犯罪

裁判官連合が、仲間の裁判官が脅迫されていると発表しました。その裁判官は逮捕された麻薬組織グループの「アラグアの汽車」メンバーを釈放しました。その釈放された犯人が再び、犯罪に手を出したからで、裁判官は犯罪グループの仲間なのかとするわけです。コロンビアとメキシコは麻薬組織が勢力を保持し社会問題になっていますがチリもそんな雰囲気が出ています。犯罪組織を抑えるためには、警察・検察そして裁判所の努力・協力が必要となりますが、チリはどうなるでしょう。

2)がけ崩れ

この週末の雨でバルパライソ州の崖のそばに建てられた高級マンションの基礎部分ががけ崩れになりました。昨年も同じ問題が起こっています。そのような場所は海に面した絶景で広いベランダから沈みゆく太陽を見れるのですが、雨でビルの下が削れると崩壊の可能性が出ます。またそこの住民は退去の命令を受けるのでしょうか?サンティアゴでもサン・ラモン断層の山の中腹に建てられたマンションが、次の大地震で崩れると言われています。                              以   上
「6月10日~6月16日」

「政治」
1)ボリッチ動向

欧州訪問のボリッチは先ずドイツを訪問し両国の交流を図りました。その次にスウェーデンに行きましたが、チリの大雨のため、公式行事を一部中断してチリの様子を調べました。「私や大臣がチリにいなくても、チリの一大事を取り扱う仕事はちゃんと実行されている」とコメントしました。外交関係ではスイスで行われたウクライナ平和会議で各国首脳と面談しました。もちろんウクナイナ大統領との面談もありました。ボリッチはロシアを厳しく批判しています。明日、フランスに向って出発します。

ところで彼がベネスエラ政府と揉めていることに関し、チリ共産党はボリッチを批判しています。共産党は与党ですか、野党ですか? ベネスエラ政府にすればチリで殺された元軍人の事件はベネスエラ国内の問題だからチリは口をはさむなというのでしょうか?

共産党のシンボルのレコレタ区長は刑務所に収容されていますが、有罪になるまで自宅待機にさせてほしいとする要求は拒否されました。

スペインのチリ大使がチリ政府のイスラエルに関する姿勢を批判していますが、それに関し外務大臣はチリはイスラエル・ベネスエラに関する姿勢は明確で揺るぎはない。チリ政府に同意しないのならその大使の継続をどうするか考えるとしています。その大使は大学闘争の時からボリッチの仲間でした。ボリッチはイスラエルのガザ攻撃はロシアの場合と同じく人権問題の犯罪行為だとしています。もちろん、そのうち南極問題でチリはアルゼンチンと対立するでしょう。

奨学金CAEの問題は放置されたままです。

2)年金改革

現在より年金基金に蓄える金を給料から多く引き抜くことが以前から議論されていますが、結論が出そうです。しかしそれとは別に、またその基金から各自が金を引き出す案が出されています。その議員は私は皆さんのために働いていると言いますが、そうして何回も基金を引き出せば、年金をもらうようになる時、雀の涙になるのは明白です。そんな議員は議会から消えてほしいですね。
3)予備選挙

先週に10月の地方選挙の各グループ代表を選ぶ予備選挙がありました。テレビを見ているとほとんど投票者がいませんでしたが、その投票が行われた60の選挙地区の投票者

の割合はなんとわずか6%でした。誰も興味を示さなかったと言うことですね。無駄な選挙でした。

「経済」
1)銅価格と為替

1ポンド4.37ドルと少し下がりました。このため為替は1ドル919ペソとペソ安になっています。

2)GDP

世銀の発表ですが、今年のチリの数字は年初考えられていたのより上向くだろうとのこと。順調に上昇しているのですね。しかしチリの株式市場IPSAは3%と4月以来の大きな落ちで今週6480ポイントになりました。

「一般」
1)大雨

南部地方はもう連日大雨でした。ビオビオ州の州都コンセプションも道路が使えなくなったりして通常生活に影響しています。サンティアゴは地区によって雨量は変わりますが

約60ミリの雨になりました。全国で3300件の家屋に被害が出たとか。来週、何ともう2度雨の前線が来ると言われています。サンティアゴは火曜日と金曜日に40ミリの雨が予想されています。このためGDPが予想より少し下がるとか。大雨被害ですね。日本も沖縄で洪水被害があったとチリのニュースに流れました。

2)犯罪

刑務所の警備員が12名逮捕されました。なんでも麻薬・武器の販売に手を出していたとか。先日、警官が商店から警備費用として金をとっていたことが見つかりましたが、チリもそういう犯罪が増えましたね。4年半前の社会騒乱より昔は無かったのに。以  上
「6月17日~6月23日」
「政治」
1)ボリッチ動向

フランスでマクロンとの面談などの行事を終え、チリに月曜日に帰国しました。翌日の朝、ウルグアイの大統領とモネダ宮殿で面談。その後南部の水害地に向って出発。しかし素晴らしい体力ですね。欧州外遊から戻ってまったく一日も休まず次の仕事を始めるなんて。

外交問題

スペインのチリ大使が政府方針と異なった言動をすると言うのが問題になりましたが、ボリッチの2年の期間でそれは初めての問題ではありません。ということは、彼と外務省は各大使の任命・コントロールを上手くやれないと言うことになりますね.。ところが今回の外遊で、欧州側からボリッチの外交はピントがずれていると言うコメントがどこかから出たらしい。若いと言うこと、経験がないので学生運動をしていた時の考えが直ぐに出てしまうのでしょうか?冗談みたいですが、今回彼が訪問した各国でチリ人グループが反ボリッチのデモをしたとか。チリの国内だけでなく国外でも人気が無いのですね。

最近、毎週問題になっているベネスエラ問題ですが、彼らはまたチリを批判しました。これに対しチリは反応しないことにしたとか。そのベネスエラから始まった南米最大の麻薬グループは「アラグアの汽車」です。今週、ペルーで同グループの犯人が520名も逮捕されました。半端じゃない数ですね。警察・軍が手を組んで全国の彼らの基地を同時に襲い掛かったので大量の逮捕者が出たらしい。ベネスエラ政府はそれをベネスエラと結び付けて私たちを批判するのは同意できないとクレームしています。ペルーが出来たことをチリが出来ないわけがないと言う意見もありますが、ボリッチはどう出るでしょう。

アルゼンチンとの問題

南極でチリが領土と主張する区域はアルゼンチン・イギリスも領土権を唱えています。

さてそれとは別に今週はフエゴ島のチリ領土にアルゼンチンが太陽光パネルを建設しました。その島は両国が分割して自国としています。ボリッチはアルゼンチンに即時に取り外しを要求し、それが実施されなければ自分たちが撤去するとしました。ミレイはそれを受けて取り外しをしました。わざとチリ領土に入り込み、ボリッチの対応を見たのでしょうね。それが進むと一触即発になります。私がチリに来てから両国間の戦争が始まると言われたことがありました???

2)地方選挙

10月の地方選挙に向けて応援の動きが始まりました。右翼側は極右の共和党(カスト)とそれ以外の党(マテイ)が各地で自陣の候補者を助けます。ところで、そのマテイは左翼政党の麻薬関連は認められないとコメントしています。トア内務大臣は彼女のコメントの根拠が分からないがそういう発言で相手グループのイメージを汚すのは認められないと反応しました。また政府関係者がマテイの財政に不正がないか銀行口座を調べると言うコメントをしています。政治家は右も左も同じですからね。

社会党の議員エスピノーサがチリが民主化して以来、左翼・中道が手を組んで政権を担ってきたとしました。つまり、共産党・新左翼はそれに入っていなかったわけです。それが

今回のボリッチ政権はその2グループが中心になって出来たわけですから従来とは雰囲気が大きく変わります。彼は次の地方選挙、そしてその後の大統領選挙に新左翼などと手を組む可能性は少ないとしています。大きな分裂が起きそうです。

3)最高裁判所

裁判官が自分たちの中で、そして知人・友人に裁判に関するコメントをしているのが漏れて問題になっています。保有権力の悪利用になるのでしょうか。裁判官が分裂しているらしい。

「経済」
1)銅価格と為替

1ポンド4.34ドルと先週より少し下がりました。為替は1ドル928ペソでした。株式市場のIPSAは6489ポイントで1か月前の6700台ポイントからかなり下がっています。

2)リチウム

コピアポ内陸部に位置するマリクンガ塩田でコデルコが計画するリチウム鉱山は54の外国企業とコンタクトがあります。コデルコが51%、他の企業が49%を保有する計画とか。初期の段階では2万トンの生産ですが、最終目標は5万トンになります。全部で23億ドルの投資になるらしい。

「一般」
1)大雨

豪雨前線がチリを覆い、10州で被害が出ています。11000軒の家に被害があったとか。床下・床上浸水の家はしばらく落ち着けませんね。道路が湖になっている地区は来週に

正常化するのか疑問視されています。警察のパトカーが水に流されているのをニュースで見ました。同じことが来年も起きますね。問題解決の手を打たなければ。この大雨がおさまれば厳しい寒さが各地を襲うとか。どうなるかな?

2)SDR指数

社会安定指数が発表されチリは167か国中の32位で、ラテンアメリカの中ではトップでした。このまま落ち着いて継続可能な将来の安定を望みたいです。

3)汽車の事故

首都圏南部で国鉄と私鉄の汽車が正面衝突し多数の死傷者が出ました。正規の路線を走っていなかった方の責任でしょうが、国鉄職員2名が裁判になっています。何かの思い違いか、機械の故障とかの理由がはっきりするでしょう。列車は試験走行で乗客はいませんでしたが、それが通常の運行なら死者は今回の2名でなく大惨事になっていたはずです。

国鉄総裁は他国のプロに状況の検討をしてもらうとコメントしました。
「6月24日~6月30日」
「政治」
1)ボリッチ動向

水曜日から5日間、チリ最南端部のマゼラン・南極州に飛びました。州都プンタ・アレナスで図書館のオープン式や120軒の簡易家屋の贈呈式に参加しました。同地区の議員から大統領の訪問はありがたいが、行事予定・日程を知らせてもらえないかと要請(クレームでしょうか)が出ました。大統領府の報告ではボリッチの同地区の通常事項のみ書かれています。

アルゼンチン問題は特別事項なので全く秘密にしているのでしょう。フエゴ島の太陽パネルを取り外した場所に行って両国の国境線を明確にするとか話し合ったと思いますが。

それからボリビアで今週、軍事革命が起きそうになりましたが、それに関しボリッチは現大統領に問題が解決して良かったですねとお祝いのコメントを送りました。

政府内の争い

今週、内務省で一人が仕事を失いましたが、彼は共産党員だったので同党の党首が、政府は共産党外しをするのかとクレームしています。社会党の議員が、その職員の仕事について大統領府が評価するのは当然で、それを反共産党の動きとするのは間違っているとコメントしました。いつも同じことを書いていますが、共産党って与党ですか野党ですか?

同党のエースのレコレタ区長が刑務所に入っていますが、早く釈放しろと共産党は怒っています。次のベネスエラの大統領選挙で現職大統領を助けようとしています。

電気代値上げ

これが最近の最重要項目です。過去5年間、毎年の適切な値上げが行われず、先延ばしになっていたので、電力会社の赤字が60億ドルになりました。それで議会は値上げを決めました。州や使用量によって異なりますが、7月から値上げ額は20%から40%くらいだとか。この寒いのに電気代が上がったら暖房できないわと庶民がクレームすると、今年末の選挙に悪い影響を与えるかもしれないと政府内でどう取り扱うか揉めています。値上げを延期するのは今まで毎年やってきたことで、隣国アルゼンチンの前政権の方針です。新左翼は値上げを抑えるため、電気の使用量が大きい企業に増税すればと言っています。新聞の社説に正常な価格を徴収するのは当然で、それを政治的にいじるのはいかがなものかと書かれています。太陽光パネルをもっと使えば将来の値上げは少なくなると言われますが。

2)地方選挙

候補者選択に関し61の地区で右翼側の3党グループ(チリ バモス)の同意が出来たとか。しかしそのグループの他に共和党とかありますから、まだまだ先は遠いですね。一番、話題になるのは首都圏のサンティアゴ区の区長でしょうね。今は共産党員が区長です。新左翼の一部が合併することを決めたとか。どうなるかな?

「経済」
1)銅価格と為替

1ポンド4.30ドルと少し下がりました。為替は1ドル951ペソとペソはかなり下がっています。株式市場のIPSAも6457ポイントと少し下がっています。失業率は3-5月で8.3%になり、12か月前より0.2%下がりました。ほとんど変わっていないですね。明日、5月の経済成長率イマセックが発表されますが、2.6%の予想とか。そうなら順調に進んでいますね。

2)生活価格

世界の中心都市で生活にかかる費用が比較されました。最も高いのはシンガポール、次いで香港でした。東京は23位でしたが、何とその上の22位はサンティアゴでした。

私がチリに入った軍事政権時はチリは南米で最貧困国の一つでしたから、東京より生活費用が掛かるなんて想像もできませんでしたが・・・明日からチリの最低賃金は50万ペソになります。

「一般」
1)鉄道スト

乗務員2名が死亡したことから国鉄職員がサンティアゴだけでなくバルパライソやコンセプシオンでもストに入りました。2,3日のストの後、何とか解決しましたが、問題の根源、それをどう解決するかの詳しい点は良く分かりません。上級職員の更迭が言われています。

2)大雨災害

南部のアラウカニア州は今週も大雨で道路が冠水し、床下浸水の家屋が多く出ています。首都圏は今週はほんのわずかの雨で、この先2週間ほど雨はないとか。そうそう首都圏の上水道の貯水池エル・イェソが数年ぶりに満タンになりました。同じ様に干上がっていた湖が以前の様に戻ったと言われるところもあります。その住民が20年ぶりに湖が戻った。もう私の人生で湖を見ることはないと思っていたけれどと喜んでいます。もっとも専門家は来年もこんな雨が降ればよいが、また乾季になればその湖はすぐに消え去るだろうと。

しかし首都圏の道路には補修が必要な箇所が50万か所もあるとかで、連日、車が大変な苦労をしながら走っています。車軸が折れたりしたら、補修不能かもしれませんね。ボリッチ頑張れと言いたいですね。がけ崩れで大きな被害が出たビーニャのコンコン地区の高級マンションの売れ行きがピタッと止まったとか。当然でしょうね。

全然関係ありませんが、ボリッチが今週訪問したプンタ・アレナスは街中が凍結とか。最低気温がマイナス14度まで下がりました。彼はその街の出身です。何と土曜日に寒中水泳の大会があり、その海に多くの人が入りました??
3)住みやすい街のランキング

世界ランクが発表されましたが、1位はウィーン、2位はコペンハーゲンでした。私にとってウィーンは欧州の中で最も好きなところです。まだ2回しか行ったことはありませんが。そして南米のトップはサンティアゴでした。嬉しいと言うか、犯罪も増えて、それほど住みやすい所ではなくなっている気もしますが。今週の世論調査で、市民の最も心配することとして治安問題と子供の将来の二つが挙げられています。

4)国勢調査

来月末まで調査は継続ですが、6月末で96%の家庭を訪問したとか。残りの4%が難しいのですね。さぁどんな結果になるでしょう。

5)同性愛デモ

土曜日は世界の同性愛の日でしたが、チリでも各地でお祝いのデモがありました。サンティアゴはイタリア広場の集合から始まりましたが、なんでも12万人が参加したとか。チリの同性愛者は他国より多いか少ないか知りませんが、ニュースで見るその数の多いのに驚きました。

以    上