【季刊誌サンプル】ラテンアメリカ・カリブ諸国の脱炭素化、 再生可能エネルギー普及と政策 桑山 幹夫(ラテンアメリカ・カリブ研究所 シニア・リサーチフェロー) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

【季刊誌サンプル】ラテンアメリカ・カリブ諸国の脱炭素化、 再生可能エネルギー普及と政策 桑山 幹夫(ラテンアメリカ・カリブ研究所 シニア・リサーチフェロー)


【季刊誌サンプル】ラテンアメリカ・カリブ諸国の脱炭素化、再生可能エネルギー普及と政策

桑山 幹夫(ラテンアメリカ・カリブ研究所 シニア・リサーチフェロー)

本記事は、『ラテンアメリカ時報』2024年夏号(No.1447)に掲載されている、特集記事のサンプルとなります。全容は当協会の会員となって頂くか、ご興味のある季刊誌を別途ご購入(1,250円+送料)頂くことで、ご高覧頂けます。

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ラテンアメリカ・カリブ諸国の脱炭素化、再生可能エネルギー普及と政策 桑山 幹夫(ラテンアメリカ・カリブ研究所 シニア・リサーチフェロー)

はじめに
ラテンアメリカ・カリブ(以下LACに略称)地域では、水力発電を軸に、太陽光、風力、地熱、バイオエネルギーなどの「再生可能エネルギー(Renewable Energy:RE)」の開発が進み、世界で最もクリーンな地域の一つとして評価されるようになった(IEA 2023)。また、LAC地域は気候変動に対して世界で最も脆弱な地域の一つでもあり、その対策が急がれる。だが、天然資源開発に重点を置いてきた従来の開発モデルからRE開発を成長エンジンとする新しい開発戦略への政策転換、パリ協定目標達成に向けての各国の長期誓約との相関性、投資資金を含む財源や国際社会からの支援の確保など、脱炭素化を進めるうえで足かせとなりかねない課題が山積する。本稿は、筆者が『ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート』に執筆した論考(桑山2024)をもとに、LAC地域における脱炭素化の進捗状況、今後の見通し、必要とされるファイナンスについて簡単に考察したものである。詳細については、同レポートを参照していただきたい。

経済部門別の温室効果ガス排出量
LAC地域は、1970年から2022年の50年余、世界の「エネルギー」関連部門(運輸、電力、産業、メタン、その他エネルギー、の5分野)からの温室効果ガス(GHG)総排出量の約5%を占めてきた。2019年には、「世界経済活動全体」からのGHG排出量へのLACの寄与率は8.3%に達した。GHG総排出量に占めるLACシェアの数値は、世界の総人口(8.3%)と世界GDPのシェア(7.3%)に酷似する。LAC域内でみると、南米地域が世界排出量の6.1%、中米地域が1.7%、カリブ地域が0.4%を占める。域内では南米(ブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア)とメキシコの排出量が突出して大きい。
GHG排出量を経済部門別にみると、LAC地域の特異性が浮き彫りとなってくる。2020年のデータによれば、LAC地域の総排出量への「エネルギー」部門の寄与率は43%で、世界平均の割合の75%を大きく下回る。その一方で、「農業」の寄与率は29%で、世界平均の割合の12%よりもはるかに高い。また、「土地利用・土地利用変化および林業(LULUCF)」の寄与率は22%だが、世界平均は3%である。農業と