【季刊誌サンプル】ラテンアメリカにおける グリーン水素開発への期待 上嶋 俊一(海外電力調査会 上席研究員) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

【季刊誌サンプル】ラテンアメリカにおける グリーン水素開発への期待 上嶋 俊一(海外電力調査会 上席研究員)


【季刊誌サンプル】ラテンアメリカにおけるグリーン水素開発への期待

上嶋 俊一(海外電力調査会 上席研究員)

本記事は、『ラテンアメリカ時報』2024年夏号(No.1447)に掲載されている、特集記事のサンプルとなります。全容は当協会の会員となって頂くか、ご興味のある季刊誌を別途ご購入(1,250円+送料)頂くことで、ご高覧頂けます。

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ラテンアメリカにおけるグリーン水素開発への期待 上嶋 俊一(海外電力調査会 上席研究員)

はじめに
ラテンアメリカ諸国は、豊富な再生可能エネルギー(再生エネ)のポテンシャルや積極的な脱炭素への取り組みなどから、世界でも有望なグリーン投資先となっている。そして今、その再生エネを活用したグリーン水素の開発に期待が寄せられている。域内各国は国内での水素利用はもとより、中・長期的には海外への輸出も視野に入れている。本稿では、水素開発のフロントランナーであるチリ、開発推進国のコロンビアとウルグアイ、将来的なポテンシャルが期待されるブラジルの4か国の動きを中心に紹介する。

グリーン水素開発のポテンシャル
国際エネルギー機関(IEA)は2021年8月に、ラテンアメリカ地域の水素開発をテーマとした報告書(Hydrogen in Latin America)を刊行し、その中で「ラテンアメリカ地域は長期的に競争力のある低炭素水素の製造が可能であり、世界市場に供給していくポテンシャルがある」と評価した。IEAによる2030年時点の水素生産および輸出見通しでは、ラテンアメリカ地域が豪州や欧州と同水準もしくは上回る見通しが立てられ、域内では運輸や製鉄、鉱業部門で利用可能性があり、パナマでは海運で次世代燃料の供給ハブを目指す動きも見られる。IEAは、そうした取り組みが各国の温室効果ガス(GHG)の排出削減だけでなく、産業競争力の強化にも繋がることが期待されるとした。
ただし、IEAは将来の見通しはあくまで試算であり、プロジェクトの遅延や中止、さらには港湾や輸送インフラの整備や投資の遅れによって、実現できない可能性も十分考えられると指摘している。

ラテンアメリカ各国での水素戦略の策定
世界の水素開発の推進において、ラテンアメリカは欧州や北米などに次ぐ地域となっている(図1)。チリが2020年にグリーン水素戦略を発表し、2021年にコロンビア、パラグアイ、ボリビア、2022年にはウルグアイ、エクアドルが水素戦略やロードマップを出している。一方、域内大国のブラジルやアルゼンチンはやや始動が遅れたものの、アルゼンチンが2023年9月に戦略を発表し、ブラジルも戦略策定に向けた準備を進めている。 
     

4か国の水素開発の動向
表1は今回取り上げる4か国の水素開発動向をまとめたものである。

①チリ
チリは国内にエネルギー資源が乏しく、化石燃料を