『動植物との出会い 南アメリカ編 -アルゼンチン共和国 ペルー共和国 ブラジル連邦共和国 他』 山内 節夫 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『動植物との出会い 南アメリカ編 -アルゼンチン共和国 ペルー共和国 ブラジル連邦共和国 他』  山内 節夫 


『動植物との出会い 南アメリカ編 -アルゼンチン共和国 ペルー共和国 ブラジル連邦共和国 他』  山内 節夫 
22世紀アート 2023年6月 378頁 2,800円+税 ISBN978-4-86726-103-3

 著者は東京農業大学短期農業科卒と同時に1958~63年アルゼンチンに渡航し5年間滞在、花卉の技術指導員等も務め、帰国後1964~98年の間伊豆シャボテン公園に勤務の傍ら南米4か国(1986年)、パタゴニア(1994年)やアフリカ南部を旅行した。野生動植物が季節の変化の中で成長し、生態変化を起こし、他の動植物と共存・利用しながら種を継続する活動環(生育のサイクル)観察の視点から綴った、アルゼンチン、ペルー、ブラジル、チリを主にベネズエラ、パナマ、メキシコについても付記した詳細な旅行記。
 旅行中に出会った野生動物・鳥類・昆虫や飼育動物、樹木や草花、食料や酒造のための栽培植物等とそれらの生育・栽培環境、現地の人の利用の仕方などを、当時の旅行時に撮った写真とともに語っている。取り上げた動植物がきわめて広範多岐にわたっており、植物・動物の解説が主の旅行記で巻末に動植物別の索引も付いている。動植物についての記述が中心なので、著者の現地訪問から四半世紀以上経過していても内容の古さはあまり感じられないが、記述対象についてサブタイトルを付けたり適宜本文の改行・行間空けなどの工夫をすればより読みやすい資料になったと思われる。

〔桜井 敏浩〕

〔『ラテンアメリカ時報』2024年夏号(No.1447)より〕