『穀物・油糧種子バリューチェーンの構造と日本の食料安全保障 2020年代の様相』 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『穀物・油糧種子バリューチェーンの構造と日本の食料安全保障 2020年代の様相』


林 瑞穂、野口 敬夫、八木 浩平、堀田 和彦

農林統計出版 2023年2月 300頁 3,200円+税 ISBN978-4-89732-478-4

 

世界の人口増加にともなう需要増加、気候変動、水・土地資源供給の制約、2020年以降の新型コロナ感染症蔓延に因る食糧供給網維持への懸念などわが国の農業・食料部門を取り巻く環境変化に対して、わが国の食料の安定的な確保、食料の安全保障確保検討の資料として、農林水産省農林水産政策研究所が大学や他の研究機関と連携して纏めた研究成果の一端。

2020年代におけるわが国の穀物調達事情から説き始め、わが国の穀物バリューチェーンを取り巻く国際市場として世界のトウモロコシ・大豆貿易の構造とその変動、わが国の主要な穀物調達地域である米国・カナダと穀物バリューチェーンを構成するアクターとしての日系商社、食物油製造、畜産・養鶏用飼料、わが国の穀物調達に多大な影響を与える中国の穀物事情とともに13人の研究者、食料ビジネスに関わる専門家が解析している。

うち第5章は「ブラジル大豆産業の構造とその変化:バリューチェーンにおける大豆生産者および大豆集荷業者の主体間関係の動態からの観察」(林瑞穂農林水産研究所主任研究官 113~145頁)を取り上げている。わが国の食料安全保障のあり方や行方を考察する上で有用な論集。

〔桜井 敏浩〕