『北川民次 メキシコから日本へ Kitagawa Tamiji Retrospective: Mexico to Japan』 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『北川民次 メキシコから日本へ Kitagawa Tamiji Retrospective: Mexico to Japan』


『北川民次 メキシコから日本へ Kitagawa Tamiji Retrospective: Mexico to Japan』
勝田 琴絵、塚田 美紀、新田 量子、永島 成郎編 国書刊行会 2024年6月 296頁 3,500円+税 ISBN978-4-336-07599-4

北川民次(1894~1984年)は20歳で渡米、27歳でメキシコに渡り36歳まで滞在、その間画家として制作を続けるとともに国立美術学校に通い、先住民のための野外美術学校で初めは使用人、最終的にはタスコ野外美術学校長に就き、メキシコ、米国で個展を開き画展に出品するなど活躍した。1936年同校の閉校を契機に帰国、二科展会員に推挙され出品、この頃から児童画、絵本挿絵も手掛ける。1955年にメキシコを再訪、11か月滞在中にリベラ、タマヨ、シケイロスなどの知人や教え子、フランスでは藤田嗣治と再会、スペイン経由で帰国した。帰国後も画展への出品、児童画、メキシコの壁画運動に触発された名古屋等での建物の壁画(フレスコからタイル・モザイクに替えて地元の窯業社が制作)など精力的に活動を続け、平成元年(1989年)に95歳で生涯を閉じた。
本書は生誕130年を記念して名古屋市、世田谷区、郡山市の美術館で2024年6月から2025年3月の間に順次開催される北川民次展の図録として刊行されたもので、各年代での作品の数々、美術教育と絵本の仕事、関係者のエッセイ、彼の執筆した文献・書簡、年譜、主要文献目録、作品リストも載せ、全容がわかる構成になっている。

〔桜井 敏浩〕

〔『ラテンアメリカ時報』2024年秋号(No.1448)より〕